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 ヤマトホールディングスは1919年に設立された。90年を超える当社の歴史はイノベーションの歴史そのものだ。第1のイノベーションは創業10年目に始めた路線便。当時、業界では特定の顧客の荷物を1台のトラックで運ぶ“一車貸切”といわれる形態をとっていたが、当社は業界に先駆け複数の顧客の荷物を積み合わせる路線便を始め、大成功を収めた。しかし、他社にも路線便は簡単に真似できてしまい、同業者との競争が年々激化していった。

路線便の競争が激化し、宅急便を生み出し転換ヘ

ヤマトホールディングス 代表取締役会長 瀬戸 薫 氏
ヤマトホールディングス
代表取締役会長
瀬戸 薫 氏

 そうした中から第2のイノベーションの宅急便が生まれた。この事業に参入したのは1976年。それまでのB2B(企業間)物流をやめ、C2C(個人間)の小口貨物に参入した。B2Bの取引先に「もう仕事は受けられない」と宣言し、背水の陣で宅急便に臨んだ。

 B2Bでは、集荷場所や出荷時刻、行き先は決まっており、営業所の配備やトラックの手配は容易だ。それにひきかえ、C2Cでは集荷場所や時間、行き先は一定ではない。営業所の場所などもすべて見直し、再配備を行った。営業所の配備やトラックの手配だけではない。B2BとC2Cではすべてが異なる。

 最大の変化は顧客への対応だ。B2Bでは倉庫の物流担当者といったプロが相手だが、C2Cでは家庭の主婦。当然、セールスドライバーの対応などを変えなければならない。「サービス第一」と「全員経営」を掲げ、セールスドライバー全員に周知徹底した。

 全員経営とは、業務マニュアルをつくらず、一人ひとりのセールスドライバーが顧客に喜ばれるように自主的に行動する経営だ。サービスにかかわるすべての権限をセールスドライバーに委譲した。顧客に喜んでもらえれば、荷物の依頼が増える。そうなれば配送密度が高まり、生産性が向上して収益は増える。そういう図式を描いた。

新商品を次々と投入、市場を急速に拡大

 サービス第一の考えに基づいて、スキー宅急便やクール宅急便などの新サービスを次々と打ち出し、急速に市場を拡大したが、これらはあくまでも当社に運賃を払ってくれる発送側の顧客の満足度を向上させるものだった。ある時点から荷物を受け取る顧客にも喜んでいただく必要性を感じた。

 顧客の都合の良いときに荷物を受け取れる時間帯お届けサービス、セールスドライバーの携帯電話に直接顧客が連絡できるドライバーダイレクト、クロネコメンバーズの会員がWebサイトで荷物の到着時間や場所を変更できるサービスなどは、そうした考えから生まれたものだ。荷物を受け取る顧客の視点に立つことで、顧客の利便性が向上しただけでなく、不在による荷物の持ち戻りを減らし、セールスドライバーの生産性の向上にもつながった。

 第1と第2のイノベーションを生み出した当社は、目下、第3のイノベーションに取り組んでいる。アジア・ナンバーワンの流通・生活支援ソリューションプロバイダーとなることを目指し、当グループのコアコンピタンスである「ラストワンマイルネットワーク」にLT(物流技術)とFT(金融技術)とITを束ね、これまでにないサービスを顧客に提供していく。

 経済成長が著しいアジアでは宅急便をはじめとする当社のサービスを展開する一方で、少子高齢化と過疎化が進む日本では商店街の活性化、高齢者の安否確認、お買い物支援など地域や個人に密着した新しいサービスを開発する。行政とも連携して新しい地域密着型のプラットフォームをつくることを目指す。物流のラストワンマイルを担い、今までにない顧客満足を創造することは当社の使命だ。

 当社は今後も顧客のニーズに応える新たなサービスの提供に引き続き邁進していく。顧客の要望をうかがったセールスドライバーの声をもとに新しいサービスを開発する。そして、顧客のクレームをもとにサービスを高度化する。顧客と社員の声は新しいサービスの開発とサービスの高度化の原動力だ。

クレームはニーズの裏返し、しっかり耳を傾け商品ヘ

 とりわけ顧客のクレームは重要だ。しっかりと耳を傾けなければならない。というのも、クレームこそニーズの裏返しであるからだ。クレームに対応できる仕組みを考案し、それを商品として生み出していくことが社会ニーズを満たすことにつながる。それには、毎日顧客に接し、顧客の代弁者ともいえるセールスドライバーや営業所の担当者といった社員の提案を経営側が広く聴取することが欠かせない。

 宅急便の開始以来、サービスの権限をセールスドライバーに委譲し、「お客様が要望することはすべてやろう」と言い続けてきたので、現場発の様々な新サービスの提案が生まれている。毎朝7時半から8時半まで、本社の役員全員で社員からの意見や提案を聞く「朝ミーティング」を開催している。

 「お客様に喜んでもらうこと」を重視し、社員が互いに褒め合う文化を醸成するために役立てているのが「感動体験ムービー」だ。ご覧いただいたように、「お客様の家に走って荷物を運んだら、4歳の娘さんが見ていて『お疲れ様』とタンポポをくれた」といったセールスドライバーの感動体験を写真と短い文でつづっている。登場した本人から「最初に見たとき、途中から涙で見られなくなった」という声も寄せられる。

 研修では鑑賞後に顧客や同僚にどんな満足を提供できるのか議論してもらっている。「すべてはお客様の満足のために」という満足創造経営は当社のDNAであり、今後も顧客、ひいては社会に貢献していきたい。