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 ビッグデータの活用が叫ばれ、データの種類も量も爆発的に増えてきている中、「ビジュアライゼーション技術」が急速に進化している。「インフォグラフィックス」とも呼ばれるデータの視覚化にこだわったデザイン技術である。複雑に絡み合ったデータをうまく可視化することで、データの全体像や傾向を直感的に理解できる。

 最近人気の「D3.js」のサイトを見てほしい(http://d3js.org/)。視覚化デザインのサンプルがたくさん掲載されている。シンプルな棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなどとは異なり、リッチなUI(ユーザーインタフェース)が並んでいる。

 例えば、「ツリーマップ」という表現方法がある。階層型に分類されたデータを視覚化するデザインで、平面上の領域を入れ子状に次々と細かく分割して表現していく。さまざまなサイズのタイルを四角い床に敷き詰めていくイメージだ。タイルの面積が数値の大きさを示し、色でカテゴリーを表現する。限られた領域で多くの情報を表現できる利点がある。

 「バブルチャート」も有名だ。円の大きさでデータ量を表しつつ、二次元の座標にプロットすることで3次元情報を分かりやすく表示するものだ。さまざまな色と大きさの泡が浮いているようにビジュアルに表現される。時系列にバブルを変化させることで、時間と共に全体がどのように変わるかが手に取るように分かる。

 ほかにも地図データと頻度グラフを組み合わせた「マップチャート」や、人物の相関関係を表す「ネットワークグラフ」、複数次元の関係を色のグラデーションで表す「相関マトリクス」などがある。

 技術的には、HTML5に「SVG(Scalable Vector Graphics)」が記述できるようになったのが大きい。これにより、HTMLベースのアプリケーションでも効果的でインタラクティブなビジュアライゼーションが可能になった。インラインSVGをサポートするJavaScriptライブラリで有名なのが、先述したD3.jsである。

 ビジュアライゼーション技術は、情報システムの利用者に高い満足度をもたらす。ある調査によると情報システムにビジュアライゼーション技術を適用した効果を「高い/とても高い」と答えた人は74%に上る。その理由は、誰もが持っている潜在的な視覚認識能力に訴えかける技術だからだろう。

 人の視覚認識能力は素晴らしい。色彩や形、大きさといった構成要素をそれぞれ独立のものとして認識し、同時に理解できる。複雑なグラフィックス要素が表示されていても全体を把握し、パターンや傾向を発見できる。どんなスーパーコンピュータですらかなわない。ビジュアライゼーション技術は、人の持つ高い視覚認識能力を刺激して直感的な理解を促すのだ。

 データは人が理解することで初めて意味を持つ。その意味を見つけるために「データサイエンティスト」は統計学を利用し、見つけた意味を表現するのにビジュアライゼーション技術が役立つ。データのビジュアライゼーションに携わる人たちを「データデザイナー」と呼びたい。これからのビッグデータ分析には両者の協力が欠かせない。昨今は統計学がもてはやされているが、それと同じくらいビジュアライゼーション技術も重要だと思う。

漆原 茂(うるしばら しげる)
ウルシステムズ 創業者兼代表取締役社長。2011年10月よりULSグループ代表取締役社長を兼任。大規模分散トランザクション処理やリアルタイム技術を中心としたエンタープライズシステムに注力し、戦略的ITの実現に取り組んでいる。シリコンバレーとのコネクションも深く、革新的技術をこよなく敬愛している