今後、運用担当者はどのような未来像を目指すべきなのか。開発部門と運用部門の連携を自動化する「DevOps」を実践するユーザー企業を取材した結果、四つの未来像が浮かび上がってきた(図1)。
未来像─1
PaaS/IaaS開発者
運用担当者が目指すべき一つめの未来像は、パブリッククラウドに匹敵する使い勝手のPaaSやIaaSをユーザー企業の社内に構築する「PaaS/IaaS開発者」だ。自社のポリシー上、パブリッククラウドを利用できないユーザー企業にとっては、アプリケーション展開などの俊敏さを実現する上で、欠かせない存在になる。
楽天 アーキテクチャコミッティ運営室PaaS開発・運用課の佐々木庸平氏(写真2、左)は、楽天社内にPaaSを構築し、2012年4月に稼働させた。OSSのCloud Foundryを採用し、Javaのアプリケーションサーバーである「Tomcat」や、Rubyのアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」などを、「楽天市場」や「楽天トラベル」といった楽天社内の事業部門に対してサービスとして提供する。


サイバーエージェントの並河氏(写真3)は、冒頭で取り上げたように、運用管理ツールのChefの環境を整備し、OSやミドルウエアの運用を自動化した。並河氏はさらに今後、社内PaaSの構築に挑戦する予定だ。現状のChefを使う環境では、OS/ミドルウエアの展開は自動化してあるが、システムの負荷が変動した場合の仮想マシン台数の増減などは、開発者や運用担当者が判断する必要がある。仮想マシン台数の増減なども自律化できるPaaSがあれば、運用の自動化がさらに進む。同社は2012年にOpenStackを採用したIaaSを社内に構築済みであり、ITインフラ面での準備は整っている。
「PaaSを開発するためには、クラウド技術に関する知識や、プログラミングの能力が求められる」(並河氏)。また、Cloud FoundryやOpenStackといった、PaaS/IaaSを実現するOSSのドキュメントはほとんどが英語なので、英語を読み解く能力も必要だ