Windows XPがリリースされたとき、マイクロソフトの日本法人、現在の日本マイクロソフトには、スタートボタンの角が丸いことへのクレームが殺到したという。さらには、Vistaでスタートボタンは丸くなってしまった。あのデザインでは、スクリーンの外側にボタンがはみ出しているように見えて、どうも座りが悪い。
だが、これらのクレームは聞き入られることはなかった。マイクロソフトの担当者にきいたところ、その悪名高きXPのスタートボタンが、こんなに長く使われ続けるというのは、どうにも複雑な心境だということだった。
ユーザーの目に見える部分の変更は、グラフィカルなユーザーインタフェースをもつOSにとってそのくらい重要なことだ。Windows 8.1では、Windows 8でいったん消えてしまったスタートボタンが復活している。しかもそのボタンは四角形だ。丸みがとれたわけで、今、ようやく願いが届いたことになる。ただ、かつてのスタートボタンとは役割が違う。いってみれば、フルスクリーンのスタートメニューともいえるスタート画面への遷移がその役割だ。
調査結果では使われていないのに…
マイクロソフトによれば、デスクトップへのショートカットアイコンの配置や、タスクバーへのピン留めによって、実は、スタートボタンはあまり使われていないという調査結果もあるそうだ。新しいスタートボタンの反響は、あまり芳しいものではなく、さっそく、これを非表示にしてしまうユーティリティまで登場しているようだ。
いつの時代もユーザーはわがままなものである。それを管理していかなければならないシステム管理者は大変だ。
それでも、Windows XPのサポート終了は容赦なくやってくる。似ているのに違うことには反発しても、大きく変われば気づきもある。本当は、こうしたユーザーの向上心は、もっと尊重されてもいいのではないだろうか。
Windows XP終了まであと24週。
フリーランスライター