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 以前、看護師の方から伺った話です。昔(おそらく20年ほど前)なら、若手の看護師は看護師長、看護部長など管理職からの指示に対して、「看護師長がおっしゃったので」「看護部長の指示なので」と素直に従うことが多かった。しかし、最近では、指示の伝え方によっては「あの言い方はないよね」「ああいう風に言われると、やる気がなくなる」などと捉えられる場合がある、とのことです。

 このため、看護師長、看護部長などは「部下指導」のコツを学ぶ必要性に迫られており、モノの言い方や伝え方、部下のやる気の高め方などに関する具体的なノウハウを一つでも多く知りたいと思っている。看護師の方はこう話していました。

 民間企業でも同じです。私が入社した1986年ごろ、上司が部下に言っていた言葉のいくつかは、今やパワハラになってしまう可能性があります。

 もちろん、パワハラだと言われなければよい、という話ではありません。皆が気持ちよく仕事をするためには、上司や先輩が若手を相手にする場合でも、「互いに相手に配慮しつつ話す」姿勢が大切である、ということです。

 できるだけ心穏やかに、充実感を覚えつつ働く。その結果、顧客に喜ばれ、自社の利益も高め、自分も成長できる。立場に関わらず、誰もがこうしたことを望んでいるはずです。そのために上司や先輩は、若手をその気にさせるコミュニケーションが重要になります。

目的をきちんと伝える

 では、上司や先輩はどのような言葉を使って若手と接すればよいのでしょうか。三つのポイントを紹介します。

 一つめは、目的をきちんと伝えること。「いいからやれ」「とにかくやって」と言うだけでは、若手は前向きに取り組みづらいということは、以前もこの連載で触れました(「「とにかくやれ」では若手は動かない」)。そうではなく、「何のためにこれをするのか」という目的や意図をきちんと伝えるようにします。背景やいきさつなどを説明することも大事です。

 上司や先輩は、こうした目的や意図、背景、いきさつを若手に繰り返し説明する必要があります。「知っているだろう」と思っていたら、実は理解していなかった、というケースは意外と多いものです。

 言葉で説明しつくせない場合は、ホワイトボードや紙などを使って、「こういう目的でこの方たちを満足させるための仕事をします。なぜ、これに取り組むことになったかというと…」などと、若手が理解しやすい形で説明するのが有効です。

 プロジェクト期間中であれば、その目的や背景などを途中で何度か繰り返し説明することも意味があります。若手が目先の仕事に没頭するあまり、そもそもの目的を忘れてしまうことがよくあるからです。

「しつこいと思うかもしれないけれど、この仕事の目的はこれだから」

 このように若手の耳にタコができるくらい言い続けて、ようやく「なんのために」「なぜ」が浸透していきます。