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社会に出てから家庭を持つまで

 成人した番号太郎は、タバコを購入するかもしれないが、TASPOと個人番号はリンクされない。国政や地方の選挙で投票に行く場合も、選挙に個人番号は使われない(第5回参照 )。クレジットカードを作る場合も、個人番号とはリンクされない。株取引をする場合、取引口座を開設する際に証券会社に個人番号を提示する必要がある。一般の銀行口座は個人番号とリンクしないが、株取引の口座だけは個人番号とリンクすることになる。

 番号太郎が結婚する際、婚姻届を提出することになるが、婚姻届に個人番号を書く欄はない。結婚によって新しい戸籍が作られるのだが、戸籍電算システムは個人番号と連携していないからだ(第2回参照)。ただし、太郎が結婚相手を扶養するのなら、結婚相手(被扶養者)の個人番号を太郎の勤務先や税務署に提示することになる。あるいは子供が生まれたら、子供の個人番号をやはり勤務先や税務署に提示することになる。しかし戸籍そのものには、個人番号は記載されない。

 番号太郎がマイホームを新築する場合、住宅ローンを組む際に個人番号の出る幕はない。土地や建物の登記にも、個人番号は使われない。ただし固定資産税に関しては、個人番号が使われる。

 引っ越す際には、転出元と転入先の自治体間で個人番号のやり取りがおこなわれる。具体的には、転入先の自治体で調製される住民基本台帳に、世帯全員の個人番号が移ってくる。これと同時に、転入先の住民基本台帳システムでは、情報提供ネットワークシステムとのやり取りに必要な「符号」(第1回参照)を、番号太郎の世帯全員の個人番号に関して、取得しなおすことになる。一方、太郎の本籍地の市区町村にも住所の変更が連絡され、「戸籍の附票」と呼ばれるものが調製されるが、この作業に個人番号は使われない。

年金暮らしを始めてから亡くなるまで

 番号太郎が勤務先を退職して年金暮らしを始めると、途端に個人番号の出番が増えることになる。国民健康保険や介護保険に加入する際にも、年金の裁定請求の際にも、いずれも個人番号の提示が必要だ。医療費の還付請求、住民税の減免請求、医療費控除のための確定申告に際しても、個人番号の提示が必要。あるいは、太郎が子供の被扶養者となったなら、子供の勤務先や税務署に太郎の個人番号を提示することになる。

 番号太郎が亡くなると、家族が死亡届を提出することになるが、死亡届それ自体には個人番号を書く欄はない。埋火葬許可証にも個人番号は記載されない。家族は遺産相続のために、太郎が生まれてから死ぬまでの戸籍を全て取得する必要に迫られるが、この手続に個人番号は使えない。土地や建物を相続したとしても、その手続にも個人番号は使えない。ただし相続後の固定資産税納付に関しては、太郎の個人番号と相続人の個人番号が必要になるだろう。

 一方、番号太郎の最終住所地の市町村では、太郎の個人番号を経由して、健康保険の停止、年金の停止などの各種措置がおこなわれる。ただし、太郎の支払った厚生保険料の一部は、太郎の妻の年金計算に使われる可能性がある。すなわち、太郎の個人番号は死後も使われ続けることになる。今回のタイトルは「ゆりかごから墓場までマイナンバー」としたのだが、現実には番号太郎が死んだ後も、太郎の個人番号は半永久的に残るのである。「墓場に入ってもマイナンバー」ということだ。