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 元ソニーのCIO(最高情報責任者)で、現在ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏は、システム部門が幸せをつかむためには「現場で明示的に話されていない“真の期待”」にも応えていきながら、勇気を出して自らの役割を拡大していくべきだと語る。


 今回から、話は次のステップに入る。2013年7月に掲載した特集では「マイナスをゼロに戻す」という話をした。それはつまり、システム部門がやるべきこととして、以前から明示的に語られてきた問題や要望に対し、きちんと対応していくということだ。言い換えれば、現場から「~してほしい」と言われたことに、約束通り対応できるようになるということである。

 このフェーズが一段落すると、社内は急に“静か”になる。要は「遅い」とか「高い」とか「品質が悪い」とか、文句を言われなくなるわけだ。水漏れやガス漏れが起きると大騒ぎになるが、対処が終わると当たり前の状態に戻って意識されなくなるのと同じである。

 現場が静かになるのは、システム部門に対して、現場で明示的に語られてきた期待に応えられたからだ。しかし、当事者であるシステム部門の担当者たちは、そこで立ち止まってはいけない。ここからが幸せになるための本当のスタートになる。

 システム部門の人たちは「明示的に語られてきた期待に応えることが(自分たちの役割の)全てなのか」と自問自答しなければならない。“真の期待”とは何なのかを自分自身に問い直すわけだ。

 例えば、拠点や事業部門ごとにバラバラになっている機能があったとする。グローバルの視点で見ても、統合や整理がされていない領域は幾つもある。サプライチェーンなどはその典型だろう。

 それぞれが個別最適を目指して作られたプロセスでありシステムなのだから、現場で問題になるはずがない。しかし、経営の観点から見れば、問題である。これまで個別最適を放っておいただけのことであり、全体最適の視点から見直す必要がある。そうしなければ、コスト競争力の面から経営リスクになり得るという判断だ。そこまでシステム部門がやっていく。

 言葉になっていない期待に応えていくとは、こういうことだ。「ビジネス戦略から出てくる“声なき声”」に応えていくと、言い換えてもいいだろう。ただしそれには「やるべきことはちゃんとやれている」という、マイナスをゼロにできている前提が絶対に必要だ。

図●システム部門は「言葉になっていない期待」にも応えていく
図●システム部門は「言葉になっていない期待」にも応えていく
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