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 バズワードから大きなバブルへ。何のことかと言うと「ビッグデータ」のことだ。今やITベンダーも、ユーザー企業のCIOやIT担当者もビッグデータを話題にしない日は無いぐらいだ。米国の大手ユーザー企業のCEOらが「これからはデータが競争力の源泉になる」とぶち上げるものだから、日本のITベンダーのビッグデータビジネスへの期待値は否応なく高まり、日本のユーザー企業も一斉に浮き足立つ。まさにバブル状態。ビッグバブルとなり破裂するだろう。

 ビッグデータのブームはバブルであり破裂すると言っても、私はネガティブな意味で書いているのではない。むしろ素晴らしいと思っている。なぜなら、これほど過剰な期待が高まったのは、ECやネットマーケティングなどのネットビジネスがバブル化(ネットバブル)して以来だからだ。

 クラウドやスマホ/タブレット、そしてソーシャルメディアの勃興はある意味当然で、一部のITベンダー以外の企業にとって、それほど“銭の匂い”はしない。ところが、ビッグデータはITベンダーやユーザー企業、そして大企業、中小企業の区別なく、全ての企業に対して銭の匂いをプンプンと放っている。「データ分析により売り上げアップや新ビジネスのネタの発見につながる」と皆が幻想に近い期待を抱く。これだけの幻想を振り撒けたのは、直近ではネットビジネスしかないのだ。

 ネットバブルの膨張と崩壊はご存知の通り。米国、そして日本で当初、多くの企業や投資家はECやネットマーケティングに懐疑的だったが、アマゾンや楽天などのベンチャーの成功が明確になってくるに従って、ネットビジネスへの期待値が急上昇する。様々なネットベンチャーが雨後の筍のように登場し、米国の大手自動車メーカーのCEOは「我々はもはや製造業ではなく、ネットを活用してサービス業になる」と宣言する始末。ネット関連銘柄なら、それだけで株価がうなぎ登りの状態だった。

 そして2000年代初頭、ついにネットバブルは崩壊する。少なからぬネットビジネスが根拠の無いマネーゲームと化し、一気にクラッシュしたのだ。その結果、多くのネットベンチャーが崩壊した。そして「サービス業になる」としていた自動車メーカーは、足元のものづくりをおざなりにしていたために、バブル崩壊からしばらくして経営危機に陥った。

 一方、ECやネットマーケティングの強いビジネスモデルを持ったアマゾン、グーグル、楽天などの企業が勝ち残って、既存の大企業に伍し、そして超えるところまで巨大化した。既存企業でもインターネットをうまくビジネスの仕組みとして組み入れた企業は新たな成長を遂げた。

 さて、ビッグデータの場合はどうか。インターネットが生み出した新たなビジネスの仕組みは、クラウドやスマホ/タブレット、そしてソーシャルメディアによって高度に完成し、その上で膨大なデータが蓄積され、日々生み出されている。ビッグデータに絡むビジネスは、そうした膨大なデータを活用しようというのだ。従来のネットビジネスに比べてレイヤーが一つ上で、その分“虚業”度も高い。

 成功するかどうかは別にして、まさに何でもありの世界。だから、ビッグデータは急速にビッグバブルとなり破裂する。その結果、ビッグデータ分析などで競争優位を築けた企業が勝ち残るだろう。まさに冒頭の米国企業のCEOの発言のように、データが競争力の源泉になる時代が出現するはずだ。だから、私はビッグデータ・バブルについて楽観的に語る。そして、多くの企業がこのビッグバブルに参戦すべきだとも思う。