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 「最近は自分のスケジュールをクラウド上のサービスで管理している人が増えているが、『カレンダーの情報をみんながネットに入れ出すと、乗り物の時刻表はいらなくなるかもしれない』と言って、会場を盛り上げた。これをもう少し具体的にしたものを『モビリティー・オンデマンド』と呼んだ。必要な移動手段が必要な時に用意されるもので、JIT(ジャスト・イン・タイム)の発想に近い」

 「『人の行動に合わせて移動手段が用意される社会に』、MITメディアラボの伊藤所長 」という記事の一節です。「東京モーターショー2013」の関連企画である国際シンポジウム「未来社会と未来の移動」の基調講演をまとめたものですが、MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏の言葉にはやられたと思いました。ITで社会がどう変化していくか、常識にとらわれていては思いつかない姿を示していると感じるからです。

 「以前、ソフトバンクの孫正義社長が、『タイムマシン経営』という言葉を使っていたのをご記憶の方もいるだろう。米国よりも日本の方がネット・ビジネスの進展が遅いことに着目し、米国で成功したベンチャーやビジネス・モデルを日本で展開する経営手法のことだ。伊藤氏がどう考えているかは別として、孫氏よりも同氏の方が高性能のタイムマシンを持っている」

 6年ほど前に書いた「2.0のキーパーソンがMacを愛する理由」という記事で、伊藤氏についてこう書いたことがあります。このころ、伊藤氏を取材すると、しばらくしてから言っていたのはこういうことだったのか、とうなづかされることが何度もあったからですが、その後、優れたタイムマシンの乗り手というより、ITの予言者という表現のほうが適切ではないかと考えるようになりました。投資家の枠に収まらない氏の活動ぶりが感じさせるのかもしれません。

 「『人の行動に合わせて移動手段が用意される社会に』、MITメディアラボの伊藤所長 」を読んで、預言者健在の思いを強くしています。