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 顧客経験価値(CX)は、企業が顧客獲得競争で勝つための経営手法として、米経営学者のバーンド・H・シュミット氏が2000年頃に提唱した。当初は必ずしもITを活用する経営手法ではなく、企業文化や組織の改革で達成した企業が多かった。例えば、CXの実践企業として著名な百貨店の米ノードストロームは、顧客が希望すれば1人の店員が随伴して店内を回るなど、接客スタッフの裁量を大きくする組織改革で顧客満足度を飛躍的に高めることに成功した。

CX向上でITが活躍する時代に

 しかしこの2~3年の技術進歩により、「CXを実践するうえでIT活用は最も効果的かつ効率的な手段だ」(アビームコンサルティング中本雅也執行役員)との認識が広がってきた。スマホやソーシャルメディア、ビッグデータなどの活用で、顧客をより深く知り、顧客により直接的に働きかけることが一気に容易になったからだ(図2)。

図2●技術進歩で企業の射程圏内に入ったCX
図2●技術進歩で企業の射程圏内に入ったCX
顧客を知るITツールが充実したことで、再び日本でもCXに脚光が集まった
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 例えば、米スターバックスコーヒーは、モバイル向け決済サービスの米スクエアと協業し、スマホの位置情報から近くの店舗を探して来店前に商品を注文できるサービスを2012年から提供している。同社はレジに並んだ来店客をもてなすため新商品を試飲してもらうなど、古くからのCXの実践企業である。「コーヒーの試飲さえ煩わしい」と感じる顧客にとっては、このスマホアプリこそが最高の「おもてなし」になる。