顧客経験価値(CX)を高めるために、事業部門とIT担当者が共同で顧客への洞察や課題発見に取り組むための方法論の一例として、米オラクルが大学機関などと共同で開発した手法「カスタマージャーニーマッピング」を紹介しよう。同社がコンサルティングに用いるほか、同手法を実践したい顧客企業向けに社内で研修サービスを提供している。日本オラクルも今春から普及に乗り出し、研修を提供している。
この手法は架空の具体的な顧客像を想定し、時系列で顧客の経験を追うカスタマージャーニーの様式に沿って、顧客を洞察する。複数人がチームを組んで会議室に集まり、個々のシーンにおける顧客の気持ちをブレーンストーミング方式で想像し、どのような関わり方がよいか議論しながら、自社の課題をまとめるものだ。
セッションを終えると、洞察の結果や課題などを「CXストラテジー・デザイン・キャンバス」と呼ぶ図にまとめる(図)。これがCXの施策を検討する基礎資料となる。
日本オラクルCX担当ディレクターの松瀬氏によれば、実際に導入した企業ではこのセッションと同じ作業を2週間ごとに繰り返す使い方をしているという。作り上げたデザイン・キャンバスは仮説であり、検証しながら修正を繰り返すからだ。