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 前回、“ライト編”を読んでいただき心の準備ができたと思うので、予定どおり少し対処が難しい、あるいは時間がかかりそうな加齢によるボトルネックについて解説していく。前回同様、対処法まで述べるので怖がらずに読み進んでいただけると幸いである。

1.経験から来る思い込み

 スティーブ・ジョブズや、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグといった現代の代表的変革者たちは、10代で抱いた構想を20代に実現している。もっと過去に遡っても、人類の歴史を変えるような新しい発見や発明は20代から30代にかけての若い世代によって成し遂げられた歴史がある。アインシュタインが1905年に特殊相対性理論を発表したのは25歳のとき(下の写真は23歳)であったし、1927年に量子力学の基礎となる不確定性原理を提唱したハイゼンベルクも同じく当時25歳。また、ライト兄弟が1903年に世界初の動力飛行機を飛行させたのが兄ウィルバー36歳、弟オーヴィル32歳の時のことである。

 つい最近も、非常に面白いことが米国で起きた。若干15歳の、ジャック・アンドレイカという少年が、すい臓ガンの画期的な検査方法を発見し、全米の話題をさらったのである。

 このような現象は実に興味深い。「人間は経験をすればするほど賢くなる」というのが常識なのに、経験が浅い“未熟な”若者が世界を一気に変えるクリエイティブな発明や発見をするということになると、この常識が揺らいでしまうからだ。

 このことは、人は経験を積むことによって賢くなる一方で、これまでの経験からくる思い込みに縛られて思考の柔軟性を失ってしまう面を持っていることが大きく関係している。経験というのは、変化が少ない世界や、それまでの延長線のことをすればいい状況においては大いに役立つが、変化が激しかったり、全く新しいことをする、クリエイティブな能力が必要とされる局面においては、それがむしろ足かせになってしまうことがかなりある。

 ある企業(A社)があるアジアの国に進出するときに、最新モデルから2世代遅れた古いモデルを投入したが、ライバル企業(R社)は逆に最新モデルを投入した。その結果、R社がこの市場で圧勝し、その後もシェアを握り続けている。

 A社は、昔同じことを別のアジアの国で行って成功をした経験または知識があったため、それを踏襲したのだ。しかし、今は昔と違ってインターネットがある。アジアのユーザーも最新モデルの情報を簡単に手に入れられるようになっているから、2世代も遅れたモデルには見向きもしない。過去の成功に基づく経験則が、時代の急速な変化により根拠を失い、単なる「思い込み」に変化していたのだ。このような思い込みに支配されていると、新たな状況の変化にクリエイティブに対応することができない。

 前々回ご紹介した、友人の医師のコメントでも「思い込みが外れた」ことが強調されていた。

 これらの例に限らず、思い込みがあると思考がその枠の中に閉じ込められてしまい、新しい独自性のあるアイデアを出すことが難しくなってしまう。何とかして外していきたいものだ。いくつか対処法を述べる。

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