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 ユーザー企業のIT部員、特に若い人にこう問いたい。「この先ずっと情報システムのお守りをして人生を送るつもりなのか」。あなたが「もちろん、そのつもり」という人ならば、ここから先はお読みにならなくても構わない。幸せな社会人生活が続くことをお祈りする。「何言っているの。システムの企画と開発の毎日だよ」という人も読む必要はない。恵まれた境遇にいるからだ。よほどの大手企業か、アグレッシブなベンチャー企業の技術者なのだろう。

 だが、ユーザー企業の技術者の多くにとって、主な仕事はシステムの運用業務や、利用部門のクレームを受けた保守業務であるはずだ。システムの運用・保守は企業にとって大事な仕事であり、若い人ならそこから学べることも多い。でも、だからと言って、あなたにとってこれからも大事な仕事であるとは限らない。もし社内に当面システム開発案件が無く、「このままでよいのか」と思っているのなら、迷わず荒野を目指そう。そう転職するのだ。

 その際、定年退職間近の大先輩が「もう少し辛抱してみろ」と引き止めるかもしれない。だが忠告を聞いてはならない。彼らは若い頃、それこそ山のようなシステム開発に携わっていた。ERP(統合基幹業務システム)など無い時代だから、ほとんどのシステムをゼロから作り上げた。「寝袋を持参して泊り込んだ」といった武勇伝を聞いたことがあるかもしれない。彼らはそうしたプロジェクト管理の修羅場を経験しただけでなく、数多くのシステムを開発することで企業の業務の本質を知り、社長や役員と議論することで経営の在り方を学んだ。

 大先輩はそうした成功体験をもとに説教するだろう。だが、彼らとあなたは別の時代を生きている。当時と比べて今は、新規のシステム開発案件は随分少なくなった。運が良ければ、基幹系システムの刷新プロジェクトを担う機会があるかもしれない。だが、プロジェクトが完了すれば、それから先の5年、あるいは10年はずっとシステムのお守りだ。今いる会社で働き続けていては、技術者としてのスキルを磨き、業務や経営を学ぶ機会は訪れない。