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 日立製作所の経営トップが交代する。4月1日付で東原敏昭専務が社長兼COO(最高執行責任者)に昇格し、中西宏明社長は会長兼CEO(最高経営責任者)に就任する。

 日立として初めて経営トップの肩書きにCEOとCOOの呼称を用いたことに象徴されるように、今回のトップ人事は単なる“社長交代”と見るべきではない。ITを核とした社会イノベーション事業を今まで以上に積極的に推進するために、中西-東原という二人の経営トップが世界中を飛び回る体制を築こうとするものである。

 東原次期社長は、今後の日立の売り物として「顧客の経営課題に応えるトータルソリューション」を挙げる。これだけを聞くと、ITベンダーの経営トップなら誰でも言いそうな話だが、日立の場合は意味合いが異なる。鉄道や電力プラントなどのインフラ製品を単に販売するのではなく、クラウドやビッグデータ分析といったITを活用して、高度な保守サービスなどを全ライフサイクルにわたって提供する、そんなイメージだ。日立が目指す社会イノベーション事業の核心と言える。

 日立の大きな経営目標は、グローバル展開で日立のはるか先を行く米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスを追撃することだ。そのためには、ITをサービスの核に据えたトータルソリューション化が武器となる。その効果はコマツの「KOMTRAX」の成功を見ても明らかだし、GEやシーメンスは日立のような強力なIT部隊を内部に持たないからだ。

 ただし、こうした取り組みは商談の単位を今以上に大きくする。東原次期社長は「各地の経営幹部が自立的に意思決定できるよう自律分散型経営を目指す」とするが、やはり要所では経営トップ自らが商談相手の経営トップや政府要人に会うことが重要になる。川村隆会長が高齢であることもあり、これまでは中西社長がその多くを担ってきたが、今後はCEOとCOOの2トップ体制でトップセールスを展開することになる。