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 2014年2月4日、日本取引所グループ(JPX)はデリバティブ取引システムの刷新を発表、開発ベンダーの募集を始めた。2014年7月までにベンダー選定を終え、2016年中の稼働を目指す。新システムの投入で、出遅れ気味のデリバティブ市場で巻き返しを狙う。

 JPXは2014年3月に、東京証券取引所の「Tdex+」と大阪証券取引所の「J-GATE」という二つのデリバティブ取引システムを、一本化する()。次期システムは、J-GATEの後継の位置づけだ。2011年2月14日の同システム稼働から3年を待たずに刷新を決めた背景には、J-GATEで採用する米ナスダックOMX製パッケージが更改時期を迎えること以外に、デリバティブ市場への危機感が見え隠れする。

図●日本取引所グループの売買システム
2016年中に「J-GATE」を刷新
図●日本取引所グループの売買システム
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 証券システムに詳しい日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の玉置彰宏主席研究員は、「現物市場よりもデリバティブ市場の方が成長率が高く、存在感を増している」と話す。JPXは現物株の売買代金で世界3位の規模を誇るものの、2012年のデリバティブにおける取扱高は17位。将来の主戦場と目されるデリバティブ市場での劣勢を挽回すべく、最新のシステム基盤を構築しておきたい考えだ。

 次期システムが備えるべき要素として、金融情報サービスなどを提供するオムジオのマイケル・ロス代表取締役は、「今以上の処理スピードの高速化は、それほど重要ではない」と指摘する。それよりも、「例えば、誤発注を事前に防ぐといったリスク管理機能を投資家は求めている」と説明する。