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 前回見たように、単純な費用比較では、クラウドはオンプレミスに比べて決して安くはない。

 では、なぜユーザー企業はIaaSを使うのか。それは、金額に換算しづらいメリットを評価に入れているからだ。ガリバーインターナショナルの月島学氏は「最も効果が高いのは、システムがダウンしたとき復旧策がいろいろあること」と話す。ここからは、あきんどスシローの例を中心に、ユーザーが実感するIaaSのメリットを明らかにする。

運用付きリソースプールに価値

 IaaSと聞くと、システムが自動拡張するオートスケール機能を真っ先に思い浮かべるかもしれないが、実はそれを必要とする業務システムは少ない。アイ・ティ・アール シニア・アナリストの甲元宏明氏は、「一般的な企業が利用するシステムでは、オートスケールは不要だし、SI事業者に頼めばリソースを増やしてくれるので、リソースを設定するセルフサービスポータルなども必要ない」と指摘する。

 多くのユーザーが、オンプレミスと費用を比較するのは、IaaSのリソースプールの部分である。自社で行っている、ハードの手当てや更新の費用、運用コストが浮く。

 そもそもスシローがAWSの活用を決めたのも、「サーバーを調達したり、データをバックアップしたりと、自社でサーバーを抱えることが辛くなってきた」(田中氏)ことにある。適切なスペックのサーバーを、適切な台数、必要な期間だけ調達できるメリットは、多くのユーザーに共通する。

 スシローは、サイジングが難しいデータウエアハウス(DWH)の構築で、こうしたメリットを実感した。同社は、スシ皿にICチップを張り付け、「どんな商品をいつレーンに流し、いつ廃棄したか」「注文時間や提供時間」などの情報を集めて分析し、需要予測や売上予測などに生かしている。

 40億件に上る過去データを格納するDWHには、362の店舗から日々、新たなデータが送られてくる。各店舗では、1日平均で7200皿程度を売り上げる。「DBの容量や、分析にどの程度のサーバーが必要かを見積もることが難しかった」(田中氏)が、AWSの利用で適量を割り当てられた。