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 どんな世界にもヒーロー、ヒロインはいる。オリンピックなどで活躍するスポーツ選手は目立つが、ビジネスの世界にも思わず「すごい!」と感嘆するようなプロフェッショナルがいる。情報システムの現場でもそれは同じだろう。大規模開発プロジェクトの修羅場で指揮を執った人、“火消し”のために獅子奮迅の働きをした人は間違いなくヒーロー、ヒロインだ。

 ところが、SIerやユーザー企業のIT部門はそうしたヒーロー、ヒロイン、優秀な技術者にスポットライトを当てるのを嫌う。例えばSIerでは、巨額の大型案件の受注に成功したバリバリの営業担当者は、メディアにホイホイ登場してその武勇伝を話してくれるが、技術者だとほとんど表に出てこない。集団での仕事なので個人が目立つことを、組織も本人も嫌うらしい。日本人的な奥ゆかしさだが、そんな“ムラ社会”のような意識でよいのかと、私は思う。

 就職活動前の学生にIT業界のイメージを聞いたことがあるが、全員がグーグルやアップル、フェイスブック、ヤフー、LINEといった企業を想定していた。今や若者にとって、IT企業とはこうした企業のことであり、間違ってもSIerなんぞは思いもつかない。それはユーザー企業の情報システムについても同様で、IT部門の存在やその仕事について想像することなど不可能だ。

 そんなわけで、ITの仕事を志す優秀な若者はどんどん、今どきのIT企業へと流れていく。これは特にSIerなどトラディショナルなIT企業にとっては由々しき事態だ。もちろん、スマホなどを通じて日々利用しているサービスと違い、企業の奥の院で動く基幹系システムなどは、若者たちの目に触れることは無い。そうしたシステムを構築・運用しているSIerやIT部門の仕事をイメージできないのは、当然と言えば当然である。