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 実は日本も、この頃まではMS-DOS全盛の時代になってはいたが、日本でMS-DOSを広げたのはIBMのPCではなく、早い段階で日本語の取り扱いに対応したNECのPC-98シリーズだった。しかし、Windows3.0の登場以降は、安価で質の高いソフトが膨大にある米国市場のソフトウエアや周辺機器への需要も高まり、だんだんとDOS/Vに人気を奪われていった。

 そんなPC-98シリーズに引導を渡し、さらにマウス操作時代のパソコンOS戦争でMacをも負かしてしまったのが1995年のWindows95だった。インターネットブームとコンパックらのパソコン安売り攻勢が加勢して、Windows95パソコンが急速にシェアを伸ばした。

 その一方で薄利多売を始めたパソコンメーカーは利益率が下がり、徐々に苦境に追いやられていく。この頃には、CPUの性能がかなり上がっており、一番、安価なパソコンを買っても、一通りのことはできるようになっていた。

 そのため、業務用に使う超高性能パソコンか一番安いパソコンしか売れない、という状態に入りつつあり、とにかくコストダウンを図ったグレーの安い箱形筐体に収まったパソコンが市場にあふれた。

 そこに変化をもたらしたのはアップルだった。一度は経営不振に陥った同社に舞い戻ったスティーブ・ジョブズが、デザイン主導で開発した半透明ボディーのiMacを発表すると、それ以後、パソコンの世界にはデザイン重視で付加価値を高めた製品があふれ始めた。

(文中、敬称略。第2回に続く)

この記事は『IT批評 VOL.1 プラットフォームへの意志』に掲載されたものを再編集して転載したものです。

林 信行(はやし のぶゆき)
 ITジャーナリスト兼コンサルタント。1980年ころからアップルの動向に関心を抱き、1990年から本格的な取材活動を始め、その技術的取り組みやものづくりの姿勢、経営、コミュニティづくりなど、多方面にわたって取材を続けてきた。グーグルなどの検索市場の動向、ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の動向などについても記事を執筆。主な著書に、『iPhoneショック』(日経BP社)、『Twitterの衝撃』(共著・日経BP社)、『スティーブ・ジョブズ成功を導く言葉』(青春出版社)、『iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?』(アスペクト)などがある。ツイッターアカウントは@nobi。