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NTTドコモの超音波発信技術で乗客検知

写真4●Androidスマートフォンで山手線トレインネットにアクセスするための「JR東日本アプリ」をインストールするときの画面。「アプリの権限」にマイクの利用が含まれる
写真4●Androidスマートフォンで山手線トレインネットにアクセスするための「JR東日本アプリ」をインストールするときの画面。「アプリの権限」にマイクの利用が含まれる
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 この時点では、スマートフォンを持つ乗客と車両は関連づけられていない。これを結びつけるために超音波発信機を使う。利用しているのは、NTTドコモの超音波位置検知技術「Air Stamp」である(関連記事:NTTドコモが「Air Stamp」提供開始、山手線車両内のスマホ位置を音波で特定)。

 対応工事済み列車では、車両ごとに天井に超音波発信機を据え付けている。この発信機は、その車両固有の「車両ID」を示す音を発信し続けている。音域は18k~20kHz程度の周波数で、人間の耳には聞こえない。もちろん、人体への影響がないことも確認している。

 人間には聞こえない音だが、スマートフォンのマイクでは検知することができる(写真4)。アプリは、この音波を車両IDに変換して山手線トレインネットのサーバーに送る。そしてサーバーから返ってきた混雑率・室温などのデータを画面に表示するというわけだ。

 超音波は位置検知に特化したもので、車両ID程度のわずかなデータしか乗せられない。このため、混雑率・室温のデータはインターネットを介してスマートフォンへと送られる。

実証実験時はネット大混雑

写真5●「山手線トレインネット」を担当するJR東日本鉄道事業本部サービス品質改革部ICT情報発信プロジェクトチームの松本貴之氏(左)と小林郁生氏
写真5●「山手線トレインネット」を担当するJR東日本鉄道事業本部サービス品質改革部ICT情報発信プロジェクトチームの松本貴之氏(左)と小林郁生氏
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 無料Wi-Fiサービスをやめた理由について、JR東日本鉄道事業本部サービス品質改革部ICT情報発信プロジェクトチームの松本貴之氏(写真5)は「実証実験を通じて、利用者がとても多い山手線の条件下では、通信・設備コストが重荷だということが分かったから」と率直に打ち明ける。

 2012年~2013年に実施した実証実験(関連記事:山手線で車内無線LAN実験、乗車率データや電子書籍も配信)では、実験列車の2両に1台ずつ、無線LANアクセスポイントを設置した。移動する車両とインターネットをつなぐバックホール回線はWiMAXだった。

 山手線車両(E231系電車)1両当たりの定員(座席・立席を含む)は150人前後。山手線の最混雑区間である上野駅→御徒町駅間のラッシュ時乗車率は約200%なので、1台のアクセスポイント当たり約600人を受け持つことになる。実証実験ではラッシュ時の回線は常時混雑し、つながりにくい状態になった。インターネット接続も車内情報提供も、スムーズには提供できなかったという。