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 IHIとバイオベンチャーのUMNファーマが2010年5月に共同で設立したUNIGENは、バイオ技術を使った医薬品(バイオ医薬品)の製造会社である。医薬品の製造事業への参入は、150年を超えるIHIの長い歴史の中で初めてのことだ。

 UNIGENの設立で中心的な役割を果たした人物が、IHIのプラント技術者だった小川敦嗣氏である。同氏は「多様な人材が協力して問題を解決することに大きな達成感を感じる」と、寄り合い所帯だからこそ起きる化学反応が成功の原動力になるとみる。


 UNIGENの立ち上げに至るきっかけは、私がIHI社内の中堅社員研修に参加したことだった。研修で「IHIの新規事業を考えなさい」というテーマが与えられ、そこで考えた案が医薬品の製造事業である。

小川敦嗣氏。UNIGEN 取締役 副社長(写真:加藤 康)
小川敦嗣氏。UNIGEN 取締役 副社長(写真:加藤 康)
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 もともと私はプラントの設計から建設、立ち上げまでを担う現場の技術者だった。アイルランドを中心に、主に海外で医薬品製造プラントの設計・建設を手掛けてきた。欧州に赴任していた2000年代半ばは、欧米各国でバイオ医薬品の製造プラントが数多く立ち上がっていた。

 それを運用する製薬会社の中には、わずか20人ほどの小さなバイオ創薬企業として創業した後、大きな製薬会社に成長した企業もあった。起業家精神あふれるビジネスのダイナミズムを目の当たりにする中で、社会の役に立つ、人々に貢献する仕事を手掛けたいという気持ちが芽生えていた。

 従来のIHIのプラント事業は、プラントを設計・建設し、試運転を実施して顧客に引き渡すのが通例だった。医薬品の製造は、その先の付加価値をつくり出すビジネスである。参入するリスクは高いが、それだけに利益率も高い。明確なイメージはなかったものの、試運転まで実行するプラント建設のノウハウを生かせば、IHIもこの分野に出ていけるのではないかと、ぼんやりと考えていた。