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 同じ技術であっても、世界の地域によっては先進国の生活者とは異なる課題を抱えていることがある。最近、ニューギニアのある村にダイビングに行った。そこではしごが取り付けられた木を見掛けた。「あれは何ですか」と聞くと、住民は「携帯電話の木だ」と話してくれた。不思議に思って詳しく尋ねると、その木のてっぺんに登ることが携帯電話の電波を受信できる唯一の方法なのだという。

 同じような社会的な課題は、世界中でほかにも多く存在する。それらを解決するために発明を必要とする人々がいる。マラリアの害虫駆除システムは、その一例に過ぎない。IV社がグローバル・グッドの取り組みを進めている理由は、そこにある。

 がんの治療のように、50年前、20年前に比べれば格段に進歩しているものの、そのスピードが決して速くない分野もある。バイオ技術によるパーソナル医療や、農業の生産性を高める技術などのニーズも高まっていくだろう。イノベーションが必要な多くの分野で、IV社が取り組む発明資本市場が寄与すると考えている。

 日本は、この数十年の間に世界の技術開発を先導し、多くのイノベーションを生み出してきた。世界中の人々が、発明による日本の貢献を待っているのだ。

タイトル
ネイサン・ミアボルド●米Intellectual Ventures CEO兼共同設立者、元米マイクロソフト CTO。1959年生まれ。米カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)で地球物理学と宇宙物理学の修士号と数学の学士号を取得後、米プリンストン大学で数理物理学の博士号と数理経済学の修士号を取得。ケンブリッジ大学の研究員として、量子重力の世界的研究者スティーブン・ホーキング教授とともに働く。その後、米ダイナミカル・システムズを創立し、1986年に米マイクロソフトに買収される。マイクロソフトではマイクロソフトリサーチを創設するなど、CTOとして研究開発を統括した。現在は、自身が資金提供しているロッキーズ博物館で古生物学のアフィリエイト研究員を務める。料理に関する造詣も深く、複数の著書・共著書を出版している。
この記事は『リアル開発会議 2014 Spring』の特集:「異聞・新事業、七つの流儀」を基に再構成しました。