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格助詞「の」に要注意

 では、例文に対する解答を検討します。ただし、ここでの検討が、問題に対する唯一の解ではないことを、あらかじめ理解しておいてください。これ以外にも多くの解答があり得ます。それらについて、皆さん自身やグループで議論してみてもよいでしょう。

 【例文(その1)】が持っている症状は、「新しい」という形容詞が「計算ソフト」と「アップデート・プログラム」の両方を修飾して二つの意味を持っていることです。では、なぜ二つの意味を持ってしまったのでしょう。その原因は格助詞「の」を用いたことにあります。従って一つの意味になるよう治療(訂正)するには、格助詞「の」を使わなければ良いのです。

 例えば、「新しい表計算ソフトに適用するアップデート・プログラムは今月末に提供されます」や、「表計算ソフトに適用する新しいアップデート・プログラムは今月末に提供されます」とすれば、上記の問題は回避できます。

 格助詞「の」を使う場合は用心深くあるべきです。「の」を使いたい場合には違う言葉で代替できないか常に検討してください。また語彙力が弱いと文脈上適切な言葉が見つからないために「の」を使いたがる傾向がでます。

文章の長さや構造にも気を配る

 続いて、【例文(その2)】について解説しましょう。この悪文の症状は、文章が長いことです。技術文章は平均40文字が経験上読みやすいとされています。この例文の場合は、80文字近くありますね。文の長さが読みづらさをもたらしたのです。従ってこの文は「一文が長い」という症状を持っているのです。

 なぜ一文が長くなるのか考えてください。様々な原因が考えられます。一文が長くなる原因の一つに二つの文を一つにしてしまったことがあります。二つの文とは「エンターキーを押すと、ときどき砂時計マークが表示される」ことを説明している文と、「砂時計マークは、コンピュータの内部でCPUの負荷が大きな処理を行っていることを意味する」ことを説明している文です。文章の構造を複雑にせず、一つ一つ単純明快に書くべきです。