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構文の力

 構文は、日本語の文法に従い、名詞、動詞、助詞、形容詞をつなげることで、文章に意味をもたせるものです。「骨にあたる」構文力を確認するため、次の例題を解いてみてください。

【例題】「うらにわにはにわとりがいる」。この文章を4通りに表現してくだ さい。分かりやすくするために、漢字を用いて書き表してください。

 四つ書けましたか。以下に正解を示します。

 (1)裏庭には、鶏がいる。
 (2)裏庭には、二羽鳥がいる。
 (3)裏に、鰐わに、埴輪、鳥がいる。
 (4)裏庭に、埴輪取りがいる。

 実際には、意味の正しさを考慮しなければ、この文章には800通りの表現方法があるといわれています。この例題の意味は、構文がしっかりしていなければ、一つの文章が複数の意味を持つことを示すことにあります。技術論文では、一文一意であるべきです。

 構文を作り出す力を構文力と呼ぶこともあります。特に日本人にとって、外国語の学習には構文力が不可欠だといわれています。日本語は語順についての制限が甘いため、構文については特に気をつかう必要があります。

 ソフトウエア文章を書くための構文力を身に付けるためには、どのような方法があるのでしょうか。構文力の基礎は文法です。まず、中学と高校で習った文法のレベルをしっかり身に付けることです。次に、他人の書いた文章を評価しながら読むことです。さらに自分の書いた文章を、一文一意であるか、自分が意味したことが他の意味に解釈されることがないかどうか推敲することです。

論理的に考える力、論理力

 論理とは何かについて、『大辞林 第二版』では次のように定義しています。(1)思考の形式・法則。議論や思考を進める道筋・論法、(2)認識対象の間に存在する脈絡・構造。さて、論理と、文章を書く上での「肉にあたる」論理的であることの違いは何でしょう。例えば次のような表現があったとします。

 「太郎は男性です。従って、太郎は男性か女性です。」

 この表現は論理的でしょうか。論理的な文章とは思えないでしょう。しかし、論理としては正しい文章なのです。ここに、「論理の正しさ」と「論理的であること」の大きな違いがあります。論理は正しいが、論理的ではない例をもう一つ示します。

 前提1:哺乳類は陸上で生活する
 前提2:鯨は哺乳類である
 結論 :鯨は陸上で生活する

 この例が論理的ではない理由は、前提が真実ではないからです。このことを裏返せば、前提は真実でなければならない、ということです。しかし現実の世界では、真実であることを証明することが難しい場合が多いのです。そのため、論理的であるためには「前提のもっともらしさ」が重要な要素となります。ソフトウエア文章においていえば、読み手や聞き手が、結論を裏付ける前提の部分から、真実に近いものを感じ取れるかどうかになります。

 読み手や聞き手は、書かれた内容や話された内容について、前提は正しいか、論理は正しいか、批判的に読み、批判的に聞きます。論理的な正しさは、読み手や聞き手の批判的な評価に十分堪え得るか、読み手や聞き手が十分に納得できるかどうかで測られるのです。