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 各国の政府で行政システムのクラウド化やオープンデータへの取り組みが本格化しつつある。これに合わせて、ITベンダー各社も政府向けのクラウドサービスやオープンデータ関連ソリューションの提供を始めている。米オラクルで全世界の公共部門と教育・医療事業分野を統括するホアン・ラダ上級副社長に、政府機関でのクラウド活用動向などを聞いた。

(聞き手は井出 一仁=日経BPガバメントテクノロジー)

「ガバメントクラウド向けソリューション」を2013年から米国、欧州で提供を始め、今春日本でも提供を発表しました。各国政府の反応は。

ホアン・ラダ氏
米オラクル 全世界公共部門・教育・医療分野担当 上級副社長 ホアン・ラダ氏

ラダ氏 政府機関向けのクラウドには、非常に特殊な要件があります。まず自らの管轄下に置けないとクラウドは使用しないという判断になります。このため、基本的には組織ごとのプライベートクラウドになるか、複数の政府組織だけが使うガバメントクラウドか、どちらかの形態になります。

 米国政府はクラウドの利用に前向きで、導入したクラウドソリューションに対する反応は非常に好評です。レスポンスや柔軟性が向上し仕事がやりやすくなったと評価されています。

 欧州でのガバメントクラウドは、国ごとの設置になると思っています。雇用や課税の観点から、多くの国は自国以外の国に政府のITインフラを置きたいとは考えないからです。経済規模でOECD(経済協力開発機構)加盟国の40~45%を占める欧州は、各国個別でもガバメントクラウドを立ち上げるのに十分な業務容量があります。

 ただ、ホロコーストなどの歴史を持つ欧州では、人権に基づいて法律が構築されており、プライバシーの考え方は米国とは異なります。米国でできることが、欧州でもすべてできるというわけではありません。その違いはガバメントクラウドの実装方法にも表れます。

オープンデータやビッグデータへの各国政府の取り組み状況をどのように見ていますか。

ラダ氏 オープンデータについては、スウェーデンやデンマークなどの北欧諸国が特に進んでいます。ただし、そのためのプロセスは非常に複雑で難しいと言えます。どんな内容なら国として公開してよいか、どのデータを公開するのかなど、たくさんのポリシーを設定していく必要があります。実際に公開するデータの多くは、地方政府が所有しているデータになるのが実情です。

 オープンデータの取り組みの初期段階で公開されるデータは、興味深いものでもなければ新奇性があるものでもなく、ごく当たり前のデータが多くなる傾向があります。

 オープンデータの取り組みについては、米国政府も当初考えていたよりも難しいと感じています。オープンデータ政策を推進するために新たなリソースを投入するなど、新しい官僚制度を作ることになってはいけないわけで、そこに難しさがあるようです。