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 本格版サイトが立ち上がれば、データを提供するインフラは整う。とはいえ、これまでは府省が、安倍政権の看板政策だからという理由でデータの公開に協力してきた面もある。データの提供を交渉してきた鈴木参事官も「国のデータが使われて役に立って喜んでくれる人がいるのが見えてくると、各府省は本気になるはず」と明かす。

 鈴木参事官は地方自治体に出向していた10年以上前に、自治体のホームページに載せる情報を自治体内で求めた経験がある。だが当時は「ホームページに載せることに何の意味があるのか」という反応が多かった。鈴木参事官は「いま何のためにホームページが必要なのかという人はいない。各府省の日常業務にデータを公開して再利用を進めるという理念が浸透する雰囲気を作りたい」と強調する。そのためには官民が協調して利活用を促進する機運が必要というわけだ。

 しかし海外で「オープンデータ」が進んでいる理由は、日本が目指す経済の活性化という目的だけにとどまらない。海外では、情報公開による政府の透明化や汚職防止、市民を政策意思決定に参画させるといった「オープンガバメント」という概念があり、それとともにデータ公開を法制化する動きも広がっている。

 EU(欧州連合)が域内の公共データを開放して再利用を進めてきたオープンデータの歴史は、2003年の「公的機関の情報の再利用に関する指令」(PSI指令)にさかのぼる。米国では2014年5月に、オバマ大統領が連邦政府機関の支出データをコンピュータで分析可能な統一した形式で公開する法案に署名した。

 安倍首相が2014年5月に英キャメロン首相を訪問した際に発表した「日英共同声明」には、国民にオープンで透明な政府への改革を目指す国際的組織オープンガバメント・パートナーシップへの「参加の検討を加速させるとの意欲を、歓迎する」というもって回った文言が盛り込まれた。英国の強い要望を受けて入った一文とみられる。