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 これは、新しいビジネス、すなわちビジネスモデルを創出しようとしている、既存の企業のビジネス創出活動に重大な影響をもたらします。既存の企業内におけるベンチャーの状況と、外部のスタートアップ企業の状況は、劇的に異なります。既存の企業は幸運にも、 ほとんどのスタートアップ企業が夢にしか望めない、ふんだんなキャッシュフロー、強力なブランド名、活発なサプライチェーン、強力な販売網、経験のある販売網といった資源と能力を使える利点があります。しかし問題は、スティーブが指摘したように、これらの既存の企業の利点は、既存のビジネスモデルを遂行するように適合されており、新しいビジネスモデルを探し求めるのには役に立ちません。そのため、既存の企業の企業内ベンチャーにとって不公平と見える利点が、企業内ベンチャーがビジネスモデルを探し求めるのを障害する、柔軟性の無い不都合となるのです。

 しかし状況的な相違は、実質的な相違よりも、大きな問題となります。繰り返しが可能で、拡張可能なビジネスモデルを探すのに苦労している企業内ベンチャーの苦労は、それ一つの側面だけでなく、2つの側面でもがくことになるからです。外部のスタートアップ企業は、長時間働き、何回もピボットして、製品と市場の適応性を見つけ、MVP(最少機能で販売可能な製品)を検証し、成功するビジネスモデルを明確にし、そのビジネスモデルは繰り返しができ拡張可能でなければなりません。

 企業内ベンチャーはそれらを全て行い、それ以上のことをしなければなりません。企業内ベンチャーは企業内部で、二番目の戦線を同時に戦わなければならないのです。二番目の戦線とは、企業内ベンチャーを立ち上げるために企業内部から許可、保護、資源などを確保し、その後、時間が経過するにつれて、必ず発生する問題が起こったときに支援してもらえるよう、内部関係を維持しなければなりません。

 スティーブは軍隊の事例を好むので、企業内ベンチャーは2つの戦線を、同時に戦っていると見なすことにします。第2次世界大戦でドイツはヨーロッパ戦線を支配していましたが、ロシアを侵略する第2戦線を開始すると決めたので結局失敗したように、社内ベンチャーはスタートアップ企業のように、外部の市場で勝利を収めることだけに焦点を当てることはできません。