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 発生した事象を絞り込んで分析するほうが、より緻密で、かつ深い分析ができる。このことは、拙著でも説明していますが、その絞り込んだ事象に対する分析をさらに限定された範囲内で行うためには、分析前に前提条件を確認し、リストアップしておくとよいでしょう。

 例えば、「Aさんに間違った薬を投与した」に対する「なぜ(要因)」を考える場合、事前に以下のような前提条件をリストアップしましょう。こうすることによって、その部分の「なぜ(要因)」を排除できます。

(前提条件)

  • 薬びんに明示された薬名と、薬びんの中味は同じものだった
  • 投与した時間は、間違えていなかった
  • 投与した看護士は、Aさんの担当の人だった

 ただし、くれぐれも注意してほしいことがあります。確実に「事実」と確認できたものだけをリストアップするようにしてください。

 厳密に分析していく場合、あやふやな事柄に対して、あたかも事実であるかのように誤認しないためにも、どのようにしてその前提条件を設定したのかについて、記述しておくのもよいでしょう。

 気をつけてほしいのは、リストアップする前提条件は、要因として除外できるものだけにすること。つまり、問題がなかった事柄に限るということです。

 なぜなら、最初に問題があるものをリストアップしてしまうと、「犯人は、これだ!」という具合に、早々に原因を決めつけて、他の要因を探し出すのを妨げてしまいます。発生作業や発生箇所について、原理・原則的な見方ができなくなってしまう恐れがあるからです。

 例えば、この事例の場合、「投与した看護士は、Aさんの担当の人ではなかった」などと最初にリストアップしたとしましょう。こうしてしまうと、「Aさんの担当ではなかった」から離れられなくなり、まさに脇役の刑事のごとく、「そいつだ!」になりかねません。ですから、最初に要因にはなりえない事柄だけをリストアップして、要因を追い込んでいく形で進めていきましょう。

まとめ
 なぜなぜ分析では、前提条件を事前に整理しておくことが欠かせない。前提条件を列挙する際に注意すべきは、確実といえる事実だけに絞ることだ。あいまいな事柄は前提条件に入れてはいけない。