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ニーズとウォンツの取り違えに要注意

所長「閑話休題。ここでちょっと寄り道して、ニーズとウォンツの話をしておきましょう」

榊田「ニーズとウォンツ──。一見どっちも同じもののように思えますね」

所長「しかし両者は全く似て非なるものなのです。たとえば榊田くんが壁に穴を空けたいとしましょう。これは榊田くんにって、ニーズですか、それともウォンツですか」

榊田「うーん、やっぱニーズでしょう」

所長「そのとおり。つまりニーズとは『何かの不足を感じている状態』だと言えます。で、私はそのニーズに応えようとドリルを作って、キミに使ってみないかと提案しました。試用してみたキミは、壁に穴を簡単に空けられることを実体験しました。そうすると……」

榊田「そのドリルが欲しくなるかもしれませんね」

所長「そう。それがウォンツにほかなりません。だからウォンツとは『ニーズが形をとったもの』と定義できるわけです」

 整理をすると、「壁に穴を空けたい」がここで言うニーズであり、ドリルは「ニーズが形をとったもの」つまりウォンツだ。間違ってはならないのは、壁に穴を空けたい顧客は必ずしもドリルを欲しているわけではない、ということだ。顧客は壁に穴を空けられるのなら、ドリル以外の製品でも構わないからだ。

 このように、ニーズとウォンツを取り違えることをマーケティング・マイオピア(マーケティング近視眼)と呼ぶ。情報システムを構築する場合も、ニーズとウォンツを混同しないよう、よくよく注意したいものである。

 また、「ニーズが形をとったもの」は手に取れる物だけとは限らない。それはサービスやイベント、経験、情報、アイデア(智恵)の場合もある。現代のマーケティングでは、これらをひとまとめにして製品と呼ぶのが一般的だ。本特集でもこの考え方を踏襲して「製品」という語を用いている点に注意されたい。