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 活用が進む背景には、現場の問題の複雑化が挙げられる。例えば、2012年末からなぜなぜ分析を本格的に活用するようになった、NECビッグローブの小野芳浩さん(ネットサービス事業部 マネージャー (業務システムグループ))は「新規に開発したシステムと、既存のシステムや他社のシステムを連携させるケースが増え、事前に想定しにくい障害が発生するようになった」と打ち明ける。複雑化したシステムは、ひとたびトラブルが起こると原因分析が難しくなる。とはいえ、場当たり的な対策を講じるだけでは、問題が再発しかねない。

 このような状況を打破する手段として、なぜなぜ分析に注目が集まっている。前述の登根さんらのように、なぜなぜ分析を効果的に使って問題の根本原因を見いだし、対策を講じて再発を防止しようというわけだ(図1)。

図1●なぜなぜ分析の主な効果とそれを高める工夫
図1●なぜなぜ分析の主な効果とそれを高める工夫
IT現場のリーダーが指摘した効果を二つ挙げた。それぞれに効果を高める工夫がある
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 実際に、なぜなぜ分析を使いこなす現場では、問題の再発防止で成果を上げている。例えばアイ・ティ・フロンティアの蒔田有紀さん(業務本部 クオリティアシュアランスユニット 品質標準推進部 兼 ITマネジメントグループ)は「人為的ミスの再発を防げるようになった」と話す。

 なぜなぜ分析は、チームメンバーが分析思考の習慣を身に付ける、という副次的な効果ももたらす。メンバーが問題の原因を掘り下げる大切さを実感し、日ごろの業務に適用するようになる。例えば「あれを人為的ミスで片付けていいのか。いや、業務のやり方に原因があるのではないか」といった具合である。リーダーはもちろん、チーム全員に必須のスキルといえる。

 NECシステムテクノロジーの吉原伸二さん(技術統括本部 (現場革新センター) センター長)は、「なぜなぜ分析に取り組むと利用部門に対する提案力も高まる」と話す。利用部門がシステム部門に示す問題や課題は、表面的な内容にとどまっていることが少なくない。ITエンジニアには、分析思考を駆使して問題を掘り下げ本質を突き止め解決する、という提案力が求められる。これを身に付けるために、なぜなぜ分析がうってつけだという。