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ITジャーナリスト林信行氏によるWWDC2014の徹底総括。前編では、過去最大のゴールドラッシュを仕掛けてきたアップルの手の内を、「App Storeの強化」「機能拡張の解禁」「ヘルスケア&ホーム市場への参入」「エンタープライズ向け機能の拡充」といったキーワードからチェックした。後編ではいよいよ、開発者にとっての本丸とも言える開発環境の改善に向けた取り組みを解説する。

広範なAPIの提供で新興アプリ開発にも追い風

 iOS 8はソフト開発者にもハード関連の開発者にも、システムインテグレーターにも大きなビジネスチャンスをもたらす商機にあふれたOSだと分かってもらえたことと思う。その一方で、iPhoneやiPadでさらに洗練されたアプリをつくりたい開発者のための新APIなども豊富に追加されている。

 基調講演で発表されたのは、指紋認証機能「Touch ID」のAPI公開。iPhone 5sの登場以前、iPhoneでパスコードを設定している人は全体の49%ほどだったが、iPhone 5sではこれが83%にまで増えている。どうやらTouch IDは、iPhoneの情報セキュリティを守りつつ簡単に情報にアクセスができる手段として定着しているようだ。このTouch IDが、ついに他社製のアプリやサービスへのサインインにも利用可能になる。もはや、iPhoneでは煩わしいパスワード、パスコードの入力は過去のものになりつつある。

 続いて「PhotoKit」というAPIだ。これまでiPhoneの写真アルバムにある写真を、他社製アプリで利用しようとした場合、一度、写真をアプリ内に取り込んで、それから再びアルバムに書き出す必要があった。これに対してPhotoKitを使えば、アプリから写真アルバム内の写真を直接、利用し、直接書き込むこともできる(その際、編集前の元画像も残すことができる)。ユーザーが許可をすればアプリ内から直接、写真を消すことも可能で、わざわざ写真を消すためだけに、写真アルバムに切り替える手間がなくなる。こうした密な連携によって写真を扱う際のパフォーマンスも大幅に向上する。

 「Camera API」も提供される。これによって既に可能だったカメラ機能の制御に加えて、新たに露出やフォーカス、ホワイトバランスに対してより細かな制御をかけることが可能になり、より高度なカメラ系アプリの開発が可能になる。

 iCloud連携をより簡単に実現するための「CloudKit」というAPIも用意される。

 これを使えばアプリ内で利用するデータをiCloud上に一時保管することができる。利用できる総容量は1PB(ペタバイト)で、データベースも10TBまで無料で利用できる。1日当たり5TBまでのデータ転送が許容されており、データベース利用も1日当たり50GBまで無料で利用できる。

 CloudKitを使えばサーバー側もクライアント側も面倒な通信手続きのコーディングが不要になり、UIやアプリロジックの開発に集中できるようになる。

写真1●指紋認証機能「Touch ID」のAPI公開で、Touch IDを使ったサインインが他社製のアプリやサービスでも利用可能に。(以下、掲載写真はすべて林信行氏撮影)
写真1●指紋認証機能「Touch ID」のAPI公開で、Touch IDを使ったサインインが他社製のアプリやサービスでも利用可能に。(以下、掲載写真はすべて林信行氏撮影)
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写真2●「PhotoKit」のAPI公開により、サードパーティ製アプリから写真アルバム内の写真を直接利用できるようになる。
写真2●「PhotoKit」のAPI公開により、サードパーティ製アプリから写真アルバム内の写真を直接利用できるようになる。
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写真3●「Camera API」の提供により、新たに露出やフォーカス、ホワイトバランスに対してより細かな制御をかけることが可能に。
写真3●「Camera API」の提供により、新たに露出やフォーカス、ホワイトバランスに対してより細かな制御をかけることが可能に。
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写真4●iCloud連携をより簡単に実現するための「CloudKit」APIも用意される。
写真4●iCloud連携をより簡単に実現するための「CloudKit」APIも用意される。
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