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 給湯器が故障したら、まず大阪ガスに電話する。その電話で「どんな風に故障したのか」が分かる。これに加えて、その家庭の給湯器の型番やガスの使用量など、大阪ガスが持っている情報を総動員して、壊れる可能性の高い部品ベスト5を割り出して表示する。当日は、この部品を持って行く。これにより「修理の当日完了率が、が60%から80%に跳ね上がった。これは画期的なこと」と河本氏は言う。

 このシステムを開発したきっかけは、ビジネスアナリシスセンターのメンバーが、メンテナンス部門の人と雑談中に「修理用の部品で苦労している」ことを聞きつけたこと。「これはデータ分析で解決できそうだと考えて、メンテナンス部門に提案した」(同)。

 河本氏は「データ分析には苦労したが、これは想像の範囲内だった。最も苦労したのは、現場に使ってもらうようにすることだった」と言う。「データ分析後の報告会では、メンテナンススタッフに褒められた。でも、その後、誰も使ってくれなかった」(同)。

 使ってもらえなかったのは、分析ツールを使うのが面倒だったからだ。「でも、ヘルメットを被ったおじちゃんも、メンテナンス用のシステムを使って、客の情報をプリントアウトしている。つまり、ITを使っている。そこで、メンテナンス用システムの画面の空いているところに、壊れる可能性の高い部品ベスト5を自動表示するようにした。データ分析にかかったのは5カ月だが、現場で利用してもらえるまでに2年半かかった。データ分析よりも、その後の苦労のほうが大きかった」(河本氏)。

これからは、フォワード型分析者が必要

 河本氏は、大阪ガスのような普通の企業がデータ分析を活用するためには、(1)ビジネス課題を「見つける力」、(2)分析問題を「解く力」、(3)知識を「使わせる力」の3つの力が必要、と説く。「この3つの力を備えた人を、我々は『フォワード型分析者』と呼んでいる」(同)。

 1つめの「見つける力」とは、要は問題発見力である。重要なのは、ビジネス課題に対して常にアンテナを張り、社内だけではなく社外にどんなデータがあるのかを把握すること、という。実際、大阪ガスでは、社外のデータとして、気象データを活用している。