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 米アップルが、iPhoneやiPadなどiOSデバイスのエンタープライズ向け機能を強化している。特にインパクトが大きいのが、iOSデバイスを大量導入する際に、デバイスを実際に使用できるように環境を整える作業(キッティング作業)を不要にする「DEP(Device Enrollment Program)」という仕組みだ。

写真1●基調講演に登壇したアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)<br>(撮影:磯修)
写真1●基調講演に登壇したアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)
(撮影:磯修)
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 2014年6月2~6日に開催した同社の開発者向けイベント「Worldwide Developers Conference(WWDC) 2014」でも、アップルは基調講演(写真1)の中でこのDEPをエンタープライズ向け機能の目玉として強調した。既に米国とカナダでサービスが始まっており、日本国内でも投入が近いとみられる。

 現在、iOSデバイスを企業が業務利用向けに導入し、MDM(Mobile Device Management)などを用いて端末を管理するには、基本的にキッティング作業が必要である。キャリアなどから納入された端末を箱から取り出し、USBケーブルでMacと接続。Mac上で動作するツール「Apple Configurator」を使って、端末に対しMDMの設定や業務アプリのインストールなどを行うのが通常だ。

 アップルの新サービスであるDEPを使うと、こうしたケーブルを介した設定作業をすべて撤廃し、オンライン上のサービスによりOTA(over-the-air)経由で実施できるようになる。納入された端末を個別に開封する必要はなく、直接、従業員に配ることができる。企業の情報システム部門の担当者は、導入に当たって業務利用の端末に一切触れる必要がないため、アップルはDEPの特徴を「zero-touch MDM enrollment」と呼んでいる。

 現状ではこうしたキッティング作業は、大企業が大量導入する際にキッティング業者が行うことが多い。DEPがスタートすれば、キッティング業者にそうした作業を依頼する必要がなくなる。

 なお、iOSの分野で「DEP」というと、iOS向けに自社の業務アプリを開発するためのデベロッパー登録である「iDEP(iOS Developer Enterprise Program)」という用語があるが、iDEPと今回のDEPは関係はない。

約半年遅れでサービス開始

 WWDC 2014の基調講演では、iOSの次期バージョン「iOS 8」の概要が発表されたが、同じ基調講演の中で説明されたDEPは、実はiOS 8の新機能ではない。DEPは現行のiOS 7向けの新機能として、2013年の「WWDC 2013」で発表されたものだ。当時は「Streamlined Device Enrollment」と呼んでいた。