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 一方で、冒険も失敗も許されなくなり、ひたすら決められたルール通りにやるしかなくなった若手社員にとっては、むしろ「うらやましい」ことかもしれません。これでは「失敗」という成長のための最善の教科書を取り上げられたに等しいからです。

 こうして「たくましい若者」は減る一方となり、「決められたことしかできない」社員が増えていきます。これは「そうなった社員」が悪いというよりは、組織の成長において、構造的に不可避な問題なのです。こうして組織の老化はますます加速していきます。

 またしてもこの構図も人間の成長過程の世代間の相違になぞらえることができます。

 「貧乏はもう嫌だ」として何不自由なく育てた子供が「金持ちのドラ息子」になる、といったような何とも言えない矛盾の構図が、会社組織でも起こるのです。

 「失敗は子供には許されるが大人には容易には許されない」という、人間に当てはまる構造的な一般則が、会社の老化のメカニズムの要因を担っていることが分かるでしょう。

細谷 功(ほそや いさお)
ビジネスコンサルタント
 1964年神奈川県生まれ。東京大学工学部を卒業後、株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ等の米仏日系コンサルティング会社にてコンサルティングに従事。専門領域は、製品開発や営業等の戦略策定や業務/IT改革等。最近は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で多数実施。著書に『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『会社の老化は止められない――未来を開くための組織不可逆論』(亜紀書房)等。