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 現地時間の2014年6月18日、米Amazon.comが独自のスマートフォン 「Fire」を発表した(関連記事:Amazon.comの独自スマホ「Fire」、3Dセンサーシステムや即注文機能など)。かねて噂になっていた、立体(3D)表示やジェスチャーによる操作を可能にするセンサーシステム「Dynamic Perspective」や、実世界のものを識別して同社のカタログと連携する「Firefly」などを搭載している。

 後発でスマートフォン市場に乗り込むAmazonは、高いシェアを持つ米AppleのiPhoneへの対抗をはじめ、先行するスマートフォンとの競合を意識せざるを得なかった。その一方で、低価格のスマートフォンを投入する動きも始まっている(関連記事:[MAE 2014]Firefox OS搭載「25ドルスマホ」のプロトタイプをMozillaが展示)。2013年に鳴り物入りで登場しながら成果を上げられなかった米Facebookのスマートフォン(通称:Facebook Phone)からも多くを学んだことだろう。

 Amazonが他との差異化のためにひねり出したのが、従来にないUX(ユーザーエクスペリエンス)だった。前面の4隅に置いた顔認識用カメラを使ってユーザーの顔と目を追跡する機能は、これまでのスマートフォンにはない“使ってみたいと思わせる”機能だ。発表前のティザー動画で端末を一切映さず、満足な表情を浮かべるユーザーを何人も並べ独自のUXをアピールしていたところには、同社のこの機能への自信を感じる。

 Fireflyも多様な商品を販売するAmazonにすると必然の機能といえる。ユーザーが街中で見かけた商品にかかわる情報が、最終的に同社のサイトでの商品販売に結び付けられる。すぐに機能を呼び出せるよう、本体に専用ボタンを設けたことには、UXを高めるためにハードウエアを設計するというポリシーが垣間見える。もちろん、他社もスマートフォンに独自の機能を組み込んでいるが、大きなトレンドを起こすまでには至っていない。

 スマートフォンが普及機から安定期に入る中、ユーザーにはだれが作ったかはあまり意識されなくなり、どういう機能をもたらしてくれるかを巡る競争が激化している。こうした中で、後発で市場に割って入るための機能を突き詰め、一段突き抜けたサービスに仕立てたところにAmazonの凄味を感じる。