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 今はインターネットによる情報過多の時代だ。情報量の多さがかえって、技術の本質をつかみにくくしている。

 この状況にどう対処すればいいか。私は技術情報が出てきたら、必ず発信元を確認する。誰が語ったのか。その人はどんな立場か。これにより、本質を語る人か、それともポジショントーク(自分に有利な方向に市場が動くよう発言すること)なのかを判断する。

萩原 正義 氏
日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 ITアーキテクチャー推進部 アーキテクト。最近の関心領域はクラウド、データベース、ストレージ関連の技術

 発信元の確認を繰り返すと、常に技術の本質を語る人、視点が興味深い人を識別できるようになる。そうした人が発信する情報こそウオッチする価値がある。こうして技術分野ごとに、ウオッチする人のリストを作る。

 情報の受け取りには、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが役立つ。ウオッチしたい人の発言を追いやすくなる。情報を集めようと努力しなくても、別のフォロワーが情報が発信されたことを教えてくれるケースもある。

 ソーシャルメディアを活用するに当たっては、二つのポイントを押さえたい。一つは、フォローする人数を絞ることだ。多すぎると情報過多になる。もう一つは、自分も適度に情報を発信すること。持ちつ持たれつの関係を作ることで、フォロワーから有益な情報を教えてもらえるようになる。

 ウオッチする人が携わる仕事の内容、誰と仲が良いのかといった人脈などを見極めることも大切だ。

 私が常にウオッチしている米国の大学を例に説明しよう。A氏が新たな研究グループを立ち上げ、その元師匠といえるB氏がそれに加わったとしよう。このケースでは、二つのグループの共同研究によって相乗効果が起こりやすい。その分野の技術が飛躍的に発達すると予想できる。

研究テーマが数年後に製品化

 私が米国の研究者たちをウオッチしているのは、彼らは自ら研究した技術を生かして会社を立ち上げたり、大学に籍を置きながら企業の経営幹部に就いたりする人が多いからである。米カリフォルニア大学 バークレー校の教授で、米Google 副社長であるエリック・ブリューワー氏がその典型だ。

 特に米国のスタートアップ企業では、研究者が設立に関わって、研究テーマをベースにした技術を採用している例が多い。この製品は数年前のあの研究がベースになっているのだなと確認できる。それゆえ、米国の研究者たちが取り組んでいる研究内容を把握しておくことで、数年先の動向を見通せるというわけである(図1)。

図1●米国の研究者の研究テーマをチェックする
図1●米国の研究者の研究テーマをチェックする
米国の研究者の研究テーマをチェックしておくことで、技術、製品、サービスに関する数年先の動向を見通すことができる
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