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 米Transitiveは,「すべてのアプリケーションは,すべてのコンピュータ上で動作できる」という理念の下,現状のコンピュータが抱える,「ある業務ソフトが特定の稼働環境でないと動作しない」という問題を打開するミドルウエア「QuickTransit」を開発するベンダーである(関連記事)。
 国内では,VMwareなどを扱うネットワールドが米Transitive製品を扱っており,米Sun MicrosystemsのSPARCアプリケーションを米IntelのCPU上で利用できるようにするミドルウエア「QuickTransit for Solaris/SPARC to Linux/Xeon」を出荷している。米TransitiveでCTO(採鉱技術責任者)を務めるAlasdair Rawsthorne氏に同社のビジョンを聞いた。



米Transitiveと提携しているベンダーの最新動向を教えて欲しい。


米Transitive Chief Technology OfficerのAlasdair Rawsthorne氏
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 現在ベンダー企業が発表している提携は次の通りだ。米Appleからの依頼で作ったソフトが「Rosetta」で,Intel Mac上でPowerPC版ソフトを動作させる。米Intelとの提携では,XeonとItanium2上でSPARCバイナリを動作させるミドルウエアを作った。米IBMはPowerPCを搭載したUNIX機「System p」とLinux上で,Intelアプリケーションを動作させようとしている。米Hewlett-Packardは,PCサーバーのProLiantで利用しようとしている。

 ユーザー企業向けの売れ筋ソフト「QuickTransit for Solaris/SPARC to Linux/Xeon」は,SPARC/SolarisアプリケーションをIntel CPUとLinux上で動作させるミドルウエアだ。2カ月から3カ月後には,多くのユーザー事例を公表できるだろう。現在公表している事例としては,欧州のLuxembourg Stock Exchange(ルクセンブルグ証券取引所)がある。本番環境でSPARCアプリケーションをIntel CPU上で動作させている。

 VMwareとの組み合わせも,よくある典型的なシナリオだ。VMwareが備える仮想サーバーの管理機能を用いて,IntelアプリケーションだけでなくSPARCアプリケーションを管理できるようになる。

SPARCアプリケーションをIntel上で稼働させる手法は,今後も主流なのか。

 米Transitiveとしては,ハードウエアが何であれ関係はない。例えば,米Sun MicrosystemsのマルチスレッドCPUにNiagaraやRockがあるが,現段階でSPARCアプリケーションの動作環境に米Intel CPUを選んだユーザーが,将来的にSunの次世代CPUに移行するといったシナリオもあり得る。

 ある時点で選んだプラットフォームが5年から10年後も最適なプラットフォームである保証はない。一方,アプリケーションの寿命はハードウエアの寿命よりも何倍も長い。あるプラットフォームから別のプラットフォームにバイナリを移動させるという米Transitiveの手法は,ハードウエアやアプリケーションに依存せず,中立的に独立した技術としてメリットを享受できる。

ハードウエアとアプリケーションの組み合わせを自動認識する万能の製品ラインは用意しないのか。

 米Transitive社内でも議論があったが,現時点ではハードウエアとアプリケーションを1対1にヒモ付けた製品ラインを採用している。技術的な問題ではなく,商売の戦略上の理由だ。この戦略は効果的だと考えている。米AppleはPowerPCアプリケーションをIntel CPU上で動作させたがっているし,米IBMはIntelアプリケーションをPowerPC上で動作させたがっている。

描いている将来的なビジョンは何か。

 ソフトウエアとハードウエアがヒモ付けられている問題は,ユーザー企業の情報システム部門だけの問題ではなく,至るところに存在する。

 ソフトウエア・ベンダーであれば,特定のプラットフォーム向けに作ったソフトが5年から10年後には使えなくなる危険性がある。QuickTransitをアプリケーションにバンドルすることで,こうした問題を回避できる。

 一方,ハードウエア・ベンダーであれば,例えば米Intelは過去のCPUとのバイナリ互換性を保ち続けるためのコストを払っている。将来的には,QuickTransitをCPUに搭載するというシナリオもあり得るだろう。

 英Rolls-Royceが航空機のエンジンを設計する時,想定しているエンジンの寿命は60年。ところが,エンジンに使われている部品の1つであるCPUは,5年から10年で寿命を迎える。このミスマッチは,各種の産業に共通した横断的な問題だ。潜在的な問題解決の可能性は無限大に広がっている。