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データ削除に3500万円もかかるという報道もありました。

藤沢 「まだコストは確定していない」ということを示す例として、その当時の試算について話をしたのですが、上限の3500万円という部分だけが一人歩きしてしまったようです。コストについては現在も検討中で、まだ定かではありません。

ところで、上告を断念したことを受けて市長が発表した「住民基本台帳ネットワークシステムについて」という文書では、「住基ネットシステムが適正に制度化され運用されるのであれば、行政効率を高め、住民の利便性の向上に寄与するものであるという認識」であるとしています。住基ネットの意義については、市長も認めているということですね。

藤沢 そうですね。例えば年金の現況確認は、昨年10月から実際に行われているわけですしね。

 ですから、高裁判決が「住基ネットのシステムそのものに違法性がある」という内容だった場合も想定して、上告のための準備も進めていました。住基ネットそのものが違法であるという判断を受け入れて上告を断念するということは、箕面市として住基ネットへの接続を拒否するということになりますが、それはできません(注4)

(注4)藤沢市長は、「住基ネット利便性を享受したい人の立場も認めるが、離脱を主張するのであれば、危険性が想起されるかぎり、住民票コードの削除を認めるべきだ」という立場を取っており、住基ネット接続拒否の考えはない。

確かに、判決文には「行政目的の正当性・必要性は認められる」「一定のセキュリティ対策は講じられており、情報漏えいの危険性は認められない」といった内容の記述がありました。ただし「制度面では個人情報保護対策に欠陥がある」ということでした。

 では、判決で指摘された問題点について、例えば国が第三者による監視機関を設けた場合は、市として原告に住民票コード復活を説得することもあるということでしょうか。

藤沢 そうなった場合ですか……正直にいうと、そうしたケースはこれまで想定していませんでした。

では、「第三者による監視機関を設けるべきだ」といったメッセージを、市として積極的に発信していこうというお考えはありますか。

藤沢 今のところ、そういったことまでは考えていません。

■最高裁で逆転判決が出たら…

残りの2市(大阪府吹田市、守口市)は上告していますが、もし最高裁で逆転判決が出た場合、箕面市としてはどう対応するのですか。

藤沢 その場合でも、今回の原告の1人については、本人が住民票コードを復活したいという意思表示を示さない限りデータを削除した状態は続いても違法ではないというのが、現時点での市の解釈です。

原告以外の住民票コード削除については、最終的な判断は司法になると思いますが、それを待たずにあえて決断する、という首長としての判断もあると思うのですが。

藤沢 (検討専門員による結論が)原告以外の希望者のデータ削除は「完全に違法」という判断であれば、そうした決断は出来ようのない話です。ですから、今、その検討を行っているということなのです。(2007年2月13日、箕面市役所にて)

藤沢 純一(ふじさわ・じゅんいち)

大阪府箕面市長。1948年富山県生まれ。73年大阪大学工学部応用化学科卒業後、吹田市役所に入庁。88年大阪外国語大学中国語科卒業。92年に箕面市議会議員に初当選し、2期務める。2000年、箕面市長に立候補し次点。2004年に再度立候補し初当選。現在1期目。