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■金利と時間の意識を変える

新会計制度を導入して、職員の行動に影響は出ていますか。

石原 これからボディブローのように効いてくると期待しています。10年たったらいろんな効果が出てくるでしょう。大切なのは「いかに使ったか」で、変な使い方をすれば必ずチェックに引っかかる、ということが定着すれば、職員の意識もお金の使い方も変わってくると思います。

 官僚に決定的に欠けているものがあって、それは金利感覚と保険弁償感覚、時間コスト感覚です。意識を変革するためにも、会計方式を変えなければダメだと強く思いました。実際、新たな公会計制度を導入してから、「自分の現場でやってみて、なるほどと思った」というような職員の声も聞こえてきています。みんなとても意欲的ですよ。

東京都が総務省の提唱する2つの方式(注4)に変更する可能性はありますか。異なる方式が併存すると、自治体間の比較時などに不都合が出るのでは、との声も出ています。

(注4)総務省は、岡山県倉敷市で基準モデル(2章方式)、静岡県浜松市で総務省方式改訂モデル(3章方式)の実証実験的検証を実施した。都方式との代表的な違いは税収の扱い。都では収入として行政コスト計算書に計上するが、総務省の2方式では出資した資本と考えて純資産変動計算書に計上する。詳細は「新地方公会計制度実務研究会」。

石原 東京都は、今の制度をそのまま続けます。我々は、東京に一番合ったやり方を導入しましたから。それぞれの自治体は、自治体ごとにいろいろな事情や個性があるのだから、どの方式を採用するにしてもそれぞれが調整すればいいでしょう。ただ、今後も一言一句変えないということではありません。もっと効率のよい方法があったら、見直すこともあるでしょう。

 もしかしたら沽券にかかわると思っているのかもしれないけれど、総務省が都の新会計制度を使ってくれてもいいんですよ。外形標準課税だって、都が始めたものを今では国がやるようになったわけですからね。(3月1日都庁にて収録)

石原 慎太郎(いしはら・しんたろう)

東京都知事。1932年兵庫県神戸市生まれ。一橋大学在学中の56年に、小説『太陽の季節』で第34回芥川賞を受賞。68年に参議院議員に初当選し、作家と政治家の二足のわらじを履く。72年に衆議院に鞍替えして当選し、以後環境庁長官、運輸大臣を歴任。95年に国会議員を辞職。99年に東京都知事に当選した(現任)。これまでに、ディーゼル車規制や外形標準課税、公会計制度改革など、先見性のある政策を導入している。著書に『「NO」と言える日本』(盛田昭夫氏と共著)、『弟』などがある。