「45ナノメートル・プロセスのクアッドコアXeonなどで、サーバー向けCPU市場を牽引する」。米インテル デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長 兼 サーバー・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン氏はこう語る。プロセスの微細化、マルチコア化に力を注ぐインテルのサーバー向け製品戦略について、スカウゲン氏に聞いた。
――45ナノメートル・プロセスのサーバー向けCPUの提供計画は。
まずは、45ナノ・ベースのクアッドコアとデュアルコアのXeonを、今年後半のほぼ同時期に提供する。これらを総称した製品の開発コード名が「Penryn」だが、細かくいえば、このうちクアッドコア製品を「Harpertown」、デュアルコア製品を「Wolfdale」と呼んでいる。ただ、最初の45ナノ製品となるため、そのアーキテクチャはあえて現行のまま、Coreマイクロアーキテクチャから変更しない。
45ナノ製品のアーキテクチャを刷新するのは、2008年に登場予定の次世代CPU「NEHALEM」(開発コード名)からだ。これにより、さらなるパフォーマンスの向上を目指す。
製造の際のリスクを抑えるために、プロセス技術とマイクロ・アーキテクチャとを交互に進化させることで、着実な製品化を目指すのが我々のやり方だ。このやり方は、45ナノ製品の次に、09年から提供する予定の32ナノ製品でも踏襲していく。
――クアッドコアとデュアルコアの新製品の位置付けをどう考えているのか。
クアッドかデュアルか、と言われれば、主流になるのはクアッドコアだ。プロセス・ルールを微細化させることと併せて、クアッドコアでもデュアルコア並みにチップ全体の消費電力を抑えつつ、パフォーマンスを向上させていくからだ。
価格についても、クアッドコアとデュアルコアの製品を、ほとんど同じにしていく方針だ。より高いパフォーマンスを、同等の価格で得られるメリットは大きい。加えて、サーバー・ソフトウエアなどのライセンスが、コア単位からソケット単位に移行しつつあるのも追い風だ。
――デュアルコア世代のCPUではAMDにシェアを奪われたが、クアッドコアではAMDに先んじるということか。
たしかにAMDが「消費電力対性能比」を打ち出してきたことに対して、当社の対応が後手に回った面はある。しかし我々は、新しいCoreマイクロアーキテクチャ・ベースのXeonなど、新製品を次々と前倒しで出荷するなど、技術革新を確実に実現している。こうしたことから、現在では、米国ウォールストリートの上位11社の金融機関のうち10社がインテルを採用し、シェアを奪い返している。
――Itaniumのクアッドコア製品の投入計画は。
2008年にはクアッドコアの製品を提供する。それが、開発コード名「Tukwila」だ。Itaniumは今後ますます用途が広がり、将来的には、クアッドコアのItaniumを搭載したブレード・サーバーなどが登場してくるだろう。
Itaniumのシステムの売り上げは急伸しており、なかでも日本での販売は飛躍的に伸びている。その信頼性の高さなどが評価され、IBMを除く、すべてのメインフレーム・ベンダーが自社システムにItaniumを採用していることが、その主な要因だ。2006年第4四半期における、世界でのItanium搭載システムの販売金額は対SPARCで72%、対Powerで39%。一方で日本での販売金額は、対SPARCで211%、対Powerで112%にも上る。