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米アクセンチュアでBI(ビジネス・インテリジェンス)などのインフォメーション・マネジメント・サービス部門を統括する、ロイス・ベル統括責任者は「現在、多くの企業は情報を活用できていない」と断言する。3年から10年先を見据えた情報活用のあるべき姿を聞いた。

(聞き手は矢口 竜太郎=日経コンピュータ


御社が実施したアンケートでは、企業は十分に情報を活用できていないという結果が出たそうですが。


アクセンチュア インフォメーション・マネジメント・サービス部門 統括責任者 ロイス・ベル氏
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 2006年12月、米国と英国の、年間売り上げ5億米ドルを超える企業に所属している、1009人の中間管理を対象にアンケートを実施しました。その結果で分かったことは、回答者の多くが情報の氾濫に困惑しており、十分に情報を活用できていない、というものです。

 例えば、こんなデータが出ています。回答者の平均値を取ると1週間の勤務時間のうち、約4分の1の時間が「情報を探すこと」に費やされています。これは平均値なので、その値を上回る回答者は全体の40%もいます。さらに回答者の53%は、入手する情報のうちで価値があるものは半分に満たないと答えています。

 情報の活用のしやすさでいえば、企業情報システムよりもコンシューマ向けのITのほうが進んでいるかもしれません。もし私の10歳の娘が、キャラクター・ベースの企業情報システムを見たら、「何十年前のコンピュータなの」と驚くことでしょう。操作するために訓練が必要なユーザー・インタフェースもそうですが、企業システムでは取り出せる情報が非常に限られていること、その割りに検索性が悪いことを不満に感じるはずです。今の10歳くらいの子供たちは、情報活用能力が高いですから。「情報量よりも信頼のおける情報かどうかのほうが大事であること」も本能的に知っているようです。

情報を蓄積するシステムとは別に、必要な情報を選び出すためのITが必要になるということでしょうか。

 そういうことだと思っています。当社では、企業経営に必要な情報がリアルタイムに把握できるような「エグゼクティブ・ポータル」と呼ぶシステムが必要になると考えています。エグゼクティブ・ポータルは「エンタープライズ・メトリックス・マネジメント」と「イベント・モニタリング」の2つの機能からなります。

 エンタープライズ・メトリクス・マネジメントはグラフを用いて各種経営指標を表示するもの。OLAP(オンライン分析処理)製品などを使用して実現する。いわゆるBIの王道的な機能です。もう一つのイベント・モニタリングはビジネスで発生する複数のイベントをモニタリングしておき、それらの発生状況の組み合わせが平常時とは違う場合に担当者に異常を通知したり、自動的にシステム上で処理を進めたりするものです。これらを組み合わせることで、企業に情報活用を促します。

イベント・モニタリングまで含めると、実際に適用する企業が出てくるのはまだ先のことのように思えます。

 確かに、多くの企業が活用するようになるまでは時間がかかるでしょう。しかし、方向性としては確実にそちらへ進んでいます。長い間、企業の情報システムは確定した情報を蓄積しているに過ぎませんでした。そこで蓄積していた情報は、顧客情報、商品情報、確定した受注情報、商品の在庫情報などです。今、企業システムが向かっている方向は、蓄積する情報の対象を確定前の情報まで拡大し、さらにそれらをどのようにしてマネジメントするか、というものです。イベント・モニタリングはまさにそれで、RFIDタグなどを使ってこれまで集めていなかった情報を集めつつ、何が起こるか確定する前から次のアクションを導き、経営判断を下せるようにすることが狙いです。

 BI以外にも、確定前の情報をマネジメントしようという動きはあります。メールや文書ファイルからの情報を取り出そうとする、「エンタープライズ・サーチ」はその一例です。営業支援システムで受注が確定する前の、受注見込みを管理している企業はすでに多くいることでしょう。いずれにせよ、入力する情報を増やすこと、増えた情報をマネジメントすることの両方を満たすことが、これからの企業システムに必要になってくると思います。