通信・メディア業界向けのソリューションを展開する「CGBU Japan」(Communications Global Business Unit Japan)を3月19日に発足させた日本オラクルと日本オラクルインフォメーションシステムズ。通信事業者向けの運用支援ツールや課金・請求ツールを活用したソリューションを展開していく。CGBU Japanの西岡リージョナル・マネージャーに聞いた。
![]() 日本オラクルインフォメーションシステムズの西岡正CGBU Japan リージョナル・マネージャー [画像のクリックで拡大表示] |
CGBUはどのような組織か。
通信業界向けソリューションを担当するビジネス・ユニットだ。営業,技術,コンサルタント,技術サポートの各担当で構成されている。オラクルが買収した米ポータルソフトウエアや米メタソルブの案件を引き継いでいる。現在の製品名は「Oracle Communications Billing and Revenue Management」(Oracle CBRM)と「Metasolv」だ。
Oracle CBRMは,課金や請求をするためのソフトウエア。Metasolvは通信事業者の運用支援のソフトウエアで,プロビジョニング(回線を事前準備する処理)などができる。Oracle CBRMはBSS(business suport system),MetasolvはOSS(operation support system)と呼ばれる分野のシステムだが,BSSとOSSをセットできちんと提供できるベンダーは,日本ではほかにはないと考えている。
サービスの開通まで制御するOSSは,物理的なキャリア・ネットワークとのつなぎ込みが必要になると思うが。
Metasolvには,通信事業者のスイッチやルーターと連携させるための「カートリッジ」と呼ぶソフトウエアを用意している。米シスコ,米ジュニパーネットワークス,カナダのノーテル,スウェーデンのエリクソンといったメーカーの機器とつなぎ込むためのカートリッジをそろえている。マルチベンダー対応だ。
カートリッジを使うつなぎ込みのような作業を担当してもらえるSIパートナを,早く開拓したい。OSSの領域は技術的要素が強く,SEのスキルも通信事業者のネットワークに特化したものが必要になる。一緒にBSSやOSSによるシステム構築をできるパートナとして,海外では米IBMや米HP,米アクセンチュアがある。日本でも,こうしたパートナと一緒にできればと考えている。特定のソリューションを持つインテグレータと組むことも出てくるだろう。
OSSは通信事業者が今すごく必要とするソリューションだと主張しているが,それはなぜか。
(通信業界の)市場はある程度飽和している。ARPU(1ユーザー当たりの平均収入)もなかなか上がらない。しかしコンシューマはすぐ飽きるので,新しいサービスを次々と投入していかなくてはならない。そうしないとマーケット・シェアを落としてしまいかねない。コンテンツの領域については分からない部分もあるが,通信事業者の売り上げは爆発的に伸びないのではないかと私は見ている。
現状では,多くの通信事業者は,サービスごとに縦割りでシステムを作ってしまっている。しかも運用支援ツールはほぼ一から作られており,パッケージ・ソフトはほとんど使われていないはずだ。通信事業者にはほぼスクラッチで作ってきたシステムがあるため(システムに関する)要求が高く,簡単にパッケージ・ソフトを購入しにくい側面がある。
しかしパッケージ・ソフトを使うことで開発が少しで済むのならば,通信事業者は導入を検討すると思う。大切なことは,運用の経費をどう下げるか。売り上げを簡単に上げられない状況では,経営者はコストダウンに取り組むのは当然のことだ。我々の製品を採用してもらえる余地は,十二分にあると考えている。
来期(2007年6月~2008年5月)の目標は。
OSSまたはOSSとBSSの両方を手がけることができるパートナを,5社くらい獲得したい。顧客である通信事業者も,10社程度獲得できればと考えている。
それからもう一つ。通信事業者に製品説明をしていると,「コンテンツ事業者との精算」に関するシステムへの関心が高い。通信事業者はコンテンツをどこからか仕入れてエンドユーザーに販売している。我々はOracle CBRMのモジュールの一つとして,販売管理と購買管理の仕組みを持っている。「コンテンツが百個売れたら収入のこれくらいの割合を支払う」といった条件を細かく設定できる。こうした条件をプログラミングするのは大変なこと。我々のツールはGUI画面で条件を設定できる。