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【前編】NGNでは品質と確実性を提供し,アプリケーションで勝負する

FTTHサービス「Bフレッツ」で“2010年に3000万加入”を掲げるNTT東西地域会社。しかし,潜在ユーザーには行き渡った感があり,新たな需要喚起は急務である。2007年度後半に商用サービスを開始予定のNGN(次世代ネットワーク)も具体像が見えないままだ。NTT東日本は今後どのような点をユーザーにアピールしていくのか,高部社長に戦略を聞いた。

3月1日に発表した2007年度の事業計画ではBフレッツの純増を200万契約とした。達成に向けた施策は。

 ブロードバンドによるインターネット接続とひかり電話だけでは,もはやユーザーに訴求できない。年間200万の上乗せを達成するには,Bフレッツの利用シーンをもっと増やす必要がある。その目玉として考えているのが,6月に提供予定のセキュリティ・サービスだ。警備会社も同様なサービスを提供しているが,Bフレッツとネットワーク・カメラやセンサーを組み合わせ,出先から自宅を監視できるようにする。

 ユーザーはNTTドコモのFOMAで自宅の映像を確認できるほか,場合によってはセンサーと連携して警報を鳴らしたり,照明を付けたりすることも考えている。用途も防犯に限らず,ペットの様子を確認するといった応用が期待できる。こうしたことを実現するための機器とセットで販売していく。

 映像サービスとサポートも強化する。まず映像は,既存の「4th MEDIA」や「OCNシアター」,「オンデマンドTV」といったVOD(video on demand)サービスに加え,スカイパーフェクト・コミュニケーションズ子会社のオプティキャストと共同展開する多チャンネル放送サービス「スカパー!光」の拡販をテコ入れする。

 またサポートは,従来とは違った有料の保守サービスを積極的に提供していく。すべてのユーザーが自らパソコンを設定し,あらゆるトラブルを自己解決できるわけではない。ユーザーの相談を定額やスポットで受けるなど,利便性を高めるサポートをフルラインアップで提供していきたい。他社との差異化を図れるほか,接続サービス以外の収入を増やす狙いもある。

NTT東日本が全部面倒を見るという形態だけでなく,メーカーやインターネット接続事業者(ISP)が自社の製品/サービスにフレッツを組み込んだ形で提供する可能性もあるのか。

 当然ある。既にISPとは様々な面で協業している。例えば現在,各ISPと共同で接続の設定を自動化する「簡単セットアップ・ツール」を作成中だ。当社の工事担当者がユーザーを訪問した際にこのツールを起動すれば,契約ISPの接続情報を自動設定する。ISPの担当者がわざわざ設定に出向くよりも,工事でユーザーを訪問することになる我々が担当した方が効率が良い。

写真●高部  豊彦氏
撮影:新関 雅士

 スカパー!光でも,当社とオプティキャストが工事に2回訪問する場合がある。しかし,ユーザーは2回も立ち会うのは面倒で,工事や設定を同時に済ませてほしいはず。提供者の立場で見ても,担当者が別々に訪問するのは無駄が多く,1回で済ませた方が合理的だ。コストを抑えるためにも,今後はこうした合理化が不可欠になる。

Bフレッツを拡販する一方,NGNの構築も進めている。ユーザーにとっては,NGNが既存サービスの延長なのか,あるいは全く新しいものなのかという違いが分かりにくい。

 基本的には既存サービスの延長と考えてもらいたい。NGNではグレードを分けてサービスを提供する。現在のBフレッツと同様なグレードもあれば,広い帯域を確保したものもあり,利用するアプリケーションによって必要なグレードは変わってくる。

 グレードがどう変わるかという点では,いくつかの要素がある。まずNGNでは,質が向上して確実性が増す。NGNの特徴として挙げられるセキュリティやQoS(quality of service)は既存のサービスでも実現できる。しかし,我々がNGNで提供しようとしているのは,認証であれば最初の1回だけでなく,継続的に何回も認証するようなセキュリティの高いサービスだ。秒や分単位で認証を繰り返せば,セキュリティは非常に強固になる。

 ネットワークの制御機能も高まる。現状のひかり電話では特定のユーザーから大量の呼が発生したり,ネットワーク上の特定個所にトラフィックが集中したりするとコントロールが難しい。しかし,NGNになれば,こうした輻輳(ふくそう)時の制御も容易になる。

 あとは帯域の大容量化がある。インフラには処理能力の高いルーターを利用するので,映像はより多くのチャンネルを一気に流せる。現状のBフレッツでも複数のチャンネルを流せるが,家庭にある複数台のテレビで別々のチャンネルを見るのは厳しい。

>>後編 

NTT東日本代表取締役社長
高部 豊彦(たかべ・とよひこ)氏
1947年1月9日生まれ。静岡県出身。69年に東京大学法学部を卒業し,日本電信電話公社(現NTT)に入社。94年2月にマルチメディア推進室担当部長に就任し,OCN事業の立ち上げに携わった。96年12月からはNTT再編成を担当する再編成対策室担当部長に就任。99年1月にNTT持ち株会社移行本部第五部門長,同年7月に取締役第五部門長。2002年6月にNTT持ち株会社代表取締役副社長。2005年6月に現職のNTT東日本代表取締役社長に就任した。趣味は読書。

(聞き手は,林 哲史=日経コミュニケーション編集長,取材日:2007年3月8日)