米ヒューレット・パッカード(HP)のパソコン事業の総責任者であるトッド・ブラッドリー(Todd Bradley)上級副社長は2007年5月10日、全世界のパソコン市場における躍進の理由や今後の方針について語った。5月8日から中国・上海で開催中の、プライベート・イベント「HP 2007 MOBILITY SUMMIT」の会場で日本の報道陣に対するインタビューに応じた。
■ガートナーやIDGの調査によると、2006年に引き続き2007年第1四半期も、ヒューレット・パッカード(HP)が世界のパソコン市場において台数ベースでシェア1位に立っています。
成功にはいくつかの理由があります。一つは、HPの提供する製品が高品質だと、多くのユーザーに認識してもらえたことです。二つ目は、直接販売と間接販売の両面で流通網の整備に力を注ぎ、成功したこと。さらに営業の効率化を図り、無駄なコストを削減したことで、ビジネスが円滑に進むようにもなりました。
さまざまなセグメントの製品を整えたことも躍進を支えています。一言でパソコン市場といっても、ユーザーの利用目的別にさまざまなセグメントがあり、それぞれでニーズが異なります。豊富な製品ラインアップをそろえ、ユーザーに多くの選択肢を提供したことで、ユーザーからの支持を得たと考えます。
ビジネスが大きく成長した結果、研究開発にも十分な投資ができるようになりました。デザインやユーザービリティなどの面で、他社よりも付加価値の高い提案を、ユーザーに対して提供できる環境が整っています。
■今後、どういった市場に注目していますか。
ノートパソコンならびにモバイル市場に大きな期待をかけています。HPのノート事業は2007年第1四半期、前年同期比で約40%もの成長を果たしました。
モバイルは、一般消費者とビジネス向け市場でユーザーニーズが大きく異なります。一般消費者向け市場では、エンターテインメントとコミュニケーションが大きな鍵を握るでしょう。接続性を高め、写真や映像を簡単に共有できるアプリケーション、サービスなどが必要です。
一方の企業向け市場では、TCO(total cost of ownership)削減、セキュリティ、安全性などがキーとなります。ビジネスシーンが異なれば、アクセスしたい情報やアクセス方法が異なります。そこで、HPではさまざまな取り組みをしています。
一つの例は、日本において日立製作所と協力して取り組んでいるモバイルのシンクライアントです。これはセキュリティを重視するユーザーに対するTCOを削減するためのソリューションです。
■パソコン以外の携帯端末についてはどう考えていますか。
他方で、ハンドヘルド型の携帯端末にも力を注いでいます。現在、ハンドヘルド市場が急速に立ち上がっています。安全で接続性の高いインフラを構築し、ボイスメールをはじめとする、ビジネスで有効利用できる種々のアプリケーションを創造していこうと計画しています。
■今後10年、パソコン事業を安定的に成長させるために、どのような戦略・戦術を検討していますか。
10年というスパンは長すぎます。HPでは、3年単位で戦略・戦術を練っています。ここ3年は、従来の戦術を大きく変更することなく事業を拡張できるのではないでしょうか。ローコストで高品質の製品を開発し、営業努力を重ね、さまざまなユーザーのニーズを満たす幅広い製品群をそろえます。モバイル市場では、接続環境の整備も重要でしょう。パソコン市場には、まだまだチャンスがあります。
人材の確保にも力を注ぎます。世界中のトップクラスの人材を採用し、それがHPの強さの源となります。