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 ウイングアーク テクノロジーズは2007年7月から出荷を開始する帳票ツール「SVF for XPS」で米マイクロソフトの文書フォーマット,XPS(XML paper specification)を採用した。SVF for XPSは,各種帳票をXPSで出力できるソフトウエア。これまで同社は帳票をPDFなどで提供してきた。今回これにXPSを加えたわけだ。XPS採用の理由と今後の展開について,同社マーケティング部の谷口功部長と製品企画部の田中潤部長に話を聞いた。

(聞き手は中道 理=日経コミュニケーション



ウイングアーク テクノロジーズ マーケティング部の谷口功部長(右)と製品企画部の田中潤部長(左)
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なぜ,XPSを採用したのか。

 ユーザーのニーズに合致したシステムを作れると考えたからだ。

 まず現在,企業のシステム担当者はクライアントに新しいソフトウエアをインストールすることを嫌う。できればWebブラウザだけで完結させたいと考えている。XPSはWindows Vistaでサポートされており,Webブラウザでも閲覧できる。今後,Vistaが企業に浸透していけば,特別なソフトウエアをインストールすることなく利用できるようになるだろう。

 また企業では,文書の検索を容易にすることが求められている。生産性やコンプライアンス(法令順守)の観点からのニーズだ。XPSはこの要求に応えられる。

 XPSの実体はXMLファイルや画像,フォント情報などをzip形式で圧縮したもので,XMLファイルに新しいタグで情報を付加したり,別のXMLファイルとして各種設定情報を入れておくことができる。SVF for XPSではXPSファイルの中に検索用のインデックス・ファイルを作成し格納する。これによって,XPSファイルの串刺し検索ができるようになる。例えば,契約日が2007年5月1日になっているデータを取り出すといった検索が簡単にできるわけだ。このインデックス・ファイルとXPSファイルを結び付けてデータベースに格納するアプリケーションも容易に実現できる。

 PDFは独自フォーマットなので,こうしたことを実現するのは非常に困難だった。

ほかには。

 XPSはオープンな規格なので,独自にビューワを作ることも簡単だ。そこで我々は,プリンタを細かく制御できるビューワーを作った。具体的には,XPSのファイルの中にXMLでプリンタ制御情報を入れておくことで,プリンタの制御ができる。例えば,両面印刷,穴あけといった操作を定義しておく。

 またWordなどとは異なり,XPSはレイアウトの細かな制御が行える。このため,印刷するプリンタを選ばないという特徴もある。会社でも,家庭でも同じ印刷結果が得られる。これはPDFと同じ特徴といえる。

専用ビューワを使うなら,何もXPSでなくても良かったのではないか。

 その通りだ。とはいえ,新しいフォーマットを自分たちで作るのは良くない。汎用性を考えれば標準的なものを使った方がいい。XPSは仕様が公開されているオープンなもので,拡張性があり使い勝手もいい。だから採用した。

XPSはアプリケーション記述用言語「XAML」の描画部分だけを取り出したサブセットだ。XAMLのアプリケーションとして入力アプリケーションを作る方向にあるのか。

 確かに,XAMLで入力フォームのアプリケーションを作れば,入力と出力を今以上にシームレスにすることができるだろう。しかし,XAMLは高いマシン性能を要求するなど導入への敷居が高い。現在は,研究を進めている段階で,採用に関して具体的な計画はまだない。XAMLを採用するかどうかは,今後の企業への浸透など動向を見ながら決めたい。

●日経コミュニケーション編集部より
インタビュー先の社名について,記事掲載時には「ウイングアーク・テクノロジー」としておりましたが,正しくは「ウイングアーク テクノロジーズ」でした。お詫びして訂正いたします。[2007/05/25 10:50]