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 米マイクロソフトの幹部への連続インタビュー第二弾。大企業病が指摘されるマイクロソフトだが、人事を統括するリサ・ブランメル上級副社長は、「マイクロソフトの従業員の意識は健全」と話す。

写真●リサ・ブランメル上級副社長
米マイクロソフトで人事を統括するリサ・ブランメル上級副社長
(写真:ウォーラーズ和子)

 優秀な人材をいかに確保し、引き留めるか。多くのIT企業と同じく、マイクロソフトもまた、この点に腐心している。人事を統括するリサ・ブランメル上級副社長は、「世界中からタレントを集め、社員が魅力を感じるキャリア開発プログラムと職場環境を提供する。これがすべて」と語る。

 人材を引きつける施策として、マイクロソフトにしかできないことがある、とブランメル上級副社長は語る。ビル・ゲイツ会長による「Think Week」というレビュー・プログラムだ。毎年ある2週間の間、マイクロソフト社員であれば誰でも、好きなアイデアをまとめて、ゲイツ会長に直接送ることができる。送られたアイデアには、原則としてゲイツ会長が自ら目を通し、直接返信するという。ブランメル上級副社長によれば、優秀な社員を引きつけ引き留める上で、「ゲイツ・レビュー」が大きな役割を果たしている。

 当然、基本的な人事施策の充実も図っている。特に力を入れているのが、従業員のキャリア開発で、一人ひとりのキャリア・プロファイルを基に、5~10年先にどんな仕事をしたいか、自身がどう成長してきたのかを、従業員自身がマネジメントできるようにしている。ブランメル上級副社長は、「IBMから移ってきた人事部門の社員がマイクロソフトのキャリア開発施策を見て、『IBMでもこれほど充実してはいなかった』と言ったほどだ」と自画自賛する。

「引退後」もゲイツはマイクロソフトにいる

写真●リサ・ブランメル上級副社長
リサ・ブランメル上級副社長
(写真:ウォーラーズ和子)

 しかし、2008年7月で経営の第一線を退くことを明言しているゲイツ会長が引退した後はどうなるのか。ゲイツ自身によるレビューが社員を引きつける大きな魅力になっているというのなら、引退は求心力の低下につながるのではないか。

 ブランメル上級副社長は、「ビル(ゲイツ会長)は引き続きマイクロソフトにとどまり続けるし、自身によるレビューも続ける。以前のようには時間を割けないにしても」と語り、「まったく問題はない」と答えた。

 加えてブランメル上級副社長は、レビューを分担するレイ・オジー氏とクレイグ・マンディ氏の役割を強調した。ノーツの開発者として知られるオジー氏は、ゲイツ会長が引退を発表した2006年6月、ゲイツ会長の後を継いでCSA(チーフ・ソフトウエア・アーキテクト)に就任した。マンディ氏は最高研究戦略責任者として、中長期の技術開発や研究の戦略を担っている。

 「レイ(オジー氏)は極めて技術に造詣が深く、エンジニアの尊敬を集めている。それにふさわしい実績も残している。クレイグ(マンディ氏)も、技術に関してとてもグローバルな視野を持つ。彼らがビルの役割を分担することで、社員の期待に応えられるだろう」(ブランメル上級副社長)。

 ブランメル上級副社長によれば、同社が毎年実施している従業員満足度調査では、有効回答率が80%、うち90%が非常に満足しているという。高い従業員満足度を、いかに維持するか。ゲイツをはじめとする最高幹部のレビューが、その一端を担っている。