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 Web2.0に対する、世界のCIO(最高情報責任者)の関心は極めて高いもので、抜本的に社内外の情報のやり取りを変える可能性がある。米アクセンチュアのチーフ・テクノロジー・ストラテジストで、多くのCIOと接触しているボブ・スー氏はこう語る。(聞き手は桔梗原富夫)

CIOのWeb2.0についての評価を知りたい。

米アクセンチュア チーフ・テクノロジー・ストラテジスト ボブ・スー氏
写真●米アクセンチュア ボブ・スー氏

 関心は極めて高い。最初はよりシステムをシンプルにできるものであり、しかも安価な技術ということでWeb2.0に注目したのかもしれない。だが現在では、単なる技術の変化ではなく、むしろお客様や社員とのやりとりを抜本的に変えるものだと考えるようになっている。

 CIOがこう考えるようになった最大の理由は、世代間のギャップにある。40代から60代の経営幹部は、生産性向上のためのツールとして、企業でコンピュータを使い始めた。これに対して10代、20代の若者は、知人や友人とのコミュニケーションのなかでパソコンに触れるようになった。両者の間には大きな差がある。

 私の仕事は、実際にいろいろ技術のコミュニティーを見て、CIOのニーズや抱える課題、IT産業のさまざまなトレンドを調査するものだ。私の話していることは、CIOを対象とした調査や実際の会話を基にしたものになる。

経営幹部と若手社員のITへのかかわりに差

 多くの経営幹部は、電子メールなどで問い合わせがあったときに1日以内にレスポンスを出せば十分だと考えている。これに対して、10代の若者や若手社員は1日も待たされると侮辱的な扱いだと受け止める。それから定期的に自分のアイデアを公開したり、それに対するフィードバックを求めたりするのを当然だと思っている若者も多い。

Web2.0の技術は企業情報システムをどう変える。

 クライアント/サーバー(C/S)システムからWeb2.0への移行によって、単に技術ではなく、企業におけるコラボレーションのあり方が完全に変わる。

 企業が、顧客や取引先、従業員とのやりとりの何パーセントぐらいをオンラインでやりとりできるかを考えると、現実にはまだそうなっていないものがたくさんある。従来の企業情報システムは入力のプロセスに対する技術の革新に注目してきたことが原因だ。

 もともと紙に記入していたものを、メインフレームの時代にはグリーン・スクリーンに、C/SシステムではGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)に置き換えた。だから、ERPパッケージを使ったシステムもメインフレーム時代のシステムと同様に、社内の専門家が操作することが前提となっている。会計システムなら財務の、人事給与システムなら人事の専門家が使うことを前提に開発されている。

 新たなコラボレーションの技術を使うことによって、一人ひとりの社員が自分でいろいろな処理を実行できるように変化する。入力のプロセスではなくサプライチェーンやトレーニング、採用などのために生まれた企業のいくつものコミュニティをITで活用していくことがもっと重要なのだ。

利用されないのは技術の問題ではない

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、利用者の参加を促すWeb2.0の技術のメリットは大きいということか。

 期待されたほど普及しなかった技術について考えると、技術それ自身が原因となっていることはまれだ。むしろ社会的な状況が影響していることが多い。たとえばCRM(顧客情報管理)システムが失敗している最大の理由は、営業担当者がシステムにきちんとデータを入力できないということだ。そもそも正しく情報を入力していないのだから、システムが機能するわけはないだろう。

 従来のCRMのように、画面の中に自分の好みとか情報を入力するようにと言われた場合には、自分の情報を集めようとしている企業に対して、不信感を抱くことが少なくない。これに対して、米アップル社がiTunesで示しているように、インターネットでの履歴情報を、消費者にとって役立つような形で提供していれば状況が変わる。こういった形で履歴情報をモニターしてくれている企業を評価することすらあり得る。

 米プロクター・アンド・ギャンブル社は、Web2.0のコミュニティーなどを活用するで製品やパッケージングに関する研究開発期間を短縮する努力を進めている。中国では、携帯電話などを使って従業員が店舗で、製品に対してどういったフィードバックを顧客から受けているかを伝えることができるようにしている。