「10年後も当社は間違いなく残り続け、企業向けソフトを販売し続ける。それだけ、企業向けソフトにコミットしている」。米ヒューレット・パッカード(HP)でソフトウエア事業を担当する、トーマス・ホーガン シニア・バイスプレジデント(写真)はこう言い切る。(聞き手は矢口 竜太郎=日経コンピュータ)
企業買収を含め、ここのところ急速にソフトウエア事業に力を入れているようですが。
当社はソフト事業だけを見ると、世界6位のソフト会社です。優れたソフト会社としての地位を勝ち取るため、企業向けソフトにコミットしています。10年後に存続しているソフト会社は限られているでしょうが、当社は間違いなくソフトを提供していることでしょう。
現在、開発研究費の70%に当たる、36億ドルをソフト分野に当てています。残りの30%がハード向けです。7年前、この比率は逆でしたが、今はそれだけソフトに力を入れているということです。
自社開発で間に合わない場合、企業買収を検討します。この1年間では、マーキュリー・インタラクティブやSPIダイナミクス、オプスウェアなどを買収しました。買収する際の基準は、当社のソフトウエア・ポートフォリオに必要な製品であることと、市場リーダーであることです。
私の言う市場リーダーとは、事業規模と製品品質の両面からトップであることです。例えばマーキュリーは、品質の高いソフトを作る企業として業界内でも有名な企業でした。HPになってからは、社内によい影響をもたらしています。
そうしてソフト事業を拡充している中でも、今後特に力を入れていくのはどの分野ですか。
HP Softwareのポートフォリオには、ビジネスの視点でITを最適化する「BTO(Business Technology Optimization)」と、よりよい意思決定のための分析情報を提供可能にする「BIO(Business Information Optimization)」、さらに「CME(Communication, Media and Entertainment)」製品という業種向けカテゴリがあります。BTOの分野に関しては、必要な製品群はそろってきました。個々の製品の機能強化でよいでしょう。今後はBIOとCMEに注力していくことになります。
HP Softwareはどこまでその範囲を拡大するのでしょうか。ゴールはありますか。
HP Softwareのゴールは、導入企業のCIO(最高情報責任者)がCEO(最高経営責任者)から信頼され、その企業にとってITが成長のエンジンになることです。そのために必要な製品ラインナップは拡充していきます。
ラインナップを拡充することで、顧客企業は混乱していませんか。
そんなことはありません。取り扱う製品は多くなりましたが、製品特性によって販売チャネルも異なるので、顧客が混乱することはないでしょう。それに、ラインナップの拡充を望んでいるのはむしろ顧客のほうです。当社は顧客の声に耳を傾け、求められる製品を出しているのです。