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 「日本計画(Plan-J)の目標は後1年で達成する」。マイクロソフト日本法人の社長として3年目を迎えたダレン・ヒューストン氏はこう語る。Plan-Jは、同氏が立案した3年計画を指す。「J」を付けているように、グローバル企業マイクロソフトの中にあって、「日本市場を念頭に置いた活動」を継続することを狙っている。ヒューストン氏に今後の舵取りを尋ねた。

マイクロソフト日本法人のダレン・ヒューストン氏
マイクロソフト日本法人のダレン・ヒューストン氏

 「日本社会が人間関係をいかに重視しているかを学んだ」。

 マイクロソフト日本法人のダレン・ヒューストン社長は、就任以来2年あまりを経た今、こう語る。

 「ビジネスを例に取ると、米国では互いの利害を基本にして、協業する部分と競争する部分を明確に分ける。しかし日本では、パートナー企業や政府関係者、業界関係者を問わず、良好な関係を築けていれば、互いを助けるために力を尽くす。反対に良好な関係がなければ、たとえビジネス上の利益が見込めたとしても、互いに助けようとはしない」。

 こう語るヒューストン社長が就任以来、一貫して示してきたのが、日本重視の姿勢である。企業市民活動や産学連携に熱心に取り組んできた。地方回りも積極的にこなし、「地方行脚」の回数は、のべ50回を超える。こうした経験から学んだ日本社会の考え方を米本社の幹部にも理解してもらう必要がある、とヒューストン社長は言う。

 「ビル・ゲイツ(会長)やスティーブ・バルマー(CEO)は理解しているが、他のシニア・エグゼクティブは必ずしもそうとは言えない。私からもっと訴えていかなければならない」。

日本のソフト業界を活性化したい

ダレン・ヒューストン氏
ダレン・ヒューストン氏

 Plan-Jの施策の中で、ヒューストン社長が特に力を入れようとしているのは、日本技術者の研究支援と、品質向上である。まず、2008年3月をめどに、「マイクロソフト・イノベーション・センター(MIC)を複数拠点に広げる」。MICは日本の技術者の研究・開発活動を支援するための施設で、第一弾として2006年11月、東京・調布に開設された。ソフトウエアの開発や検証に必要なハードとソフトをマイクロソフトが用意し、企業や個人、大学の研究機関などに無償で貸し出す。

 「日本には非常に優れたイノベーションがある。9月にMICでの研究・開発の成果を表彰するイベントを開催したが、ノミネートされた作品はどれもグローバルに通用するものばかりだった。ただ、適切な市場を探し出せていなかったり、アイデアを具体化する方策や施設が足りない。学界やIT業界の研究成果が、その力を発揮できる市場を見つけ出せるように支援したい」。

 MICは好評のようだ。施設の拡充に踏み切るのも、「利用申し込みが殺到していて、対応しきれていない」(ヒューストン社長)ためで、「既存施設にあるコンピュータの処理能力についても、より大規模なものを求める声が多い」という。「日本のため」を強調するヒューストン社長だが、MICはマイクロソフト製品の拡販にもつながる。とはいえ、日本製ソフトが海外へ進出する有力な手だてや支援がないことも事実である。

「品質問題」が重点テーマ

 一方、日本向けの品質向上策は、同社にとって長年の懸案にようやく取り組もうとするものである。日本の開発、営業、サービス、マーケティングなどの各部門、米国本社も含めた社内横断的に連携し、日本市場に適した形での品質向上を目指すという。このために同社は8月31日付で「チーフ・クオリティー・オフィサー(CQO)」を選任した(CQOについての関連記事)。

 「当社製品の品質は、年を重ねるごとに向上しているという自負がある。しかし、決して十分ではない。まだやらなければならないことは多い。コンピュータ・ウイルスなどによる被害は減ったと思う。今後は製品単体にとどまらず、当社製品を使って構築したシステム全体の品質を、パートナー企業とともに高めていかなければならない」。

 ヒューストン社長は具体例として、新製品を顧客に導入する際のサポート、顧客システムのセキュリティやシステム運用管理ソフトの利用状況、ソフトが適切にアップデートされているかどうか、といった点を挙げた。新たに選任したCQOは、これら品質に関するテーマの改善に向けて、米本社とやり取りを重ねているという。

 さらに、8月に新たに設けたCIO(最高情報責任者)を中心に、自社システムの「ショーケース化」も進める(関連記事)。マイクロソフト日本法人が自社システムに関して抱えている問題点を明らかにした上で、マイクロソフト製品をどう使って解決しているかを、CIOが対外的に発信していく。当然、自社利用で見つけた品質問題については、CQOと連携し、米本社に改善指示を出していく。