帯域制御装置ベンダー大手の米パケッティアは,2008年1月に三つの製品を発表した。これらは同社の新ビジョン「Intelligent Service Assurance」を実現する最初の製品群である。これまでの企業ネットワークでは何が問題で,それを同社の新ビジョンでどのように解決するのか,同社WW Sales & Marketing,Vice Presidentのレイ・スメッツ氏に話を聞いた。
これまでの企業ネットワークでは何が問題なのか。
![]() 米パケッティア WW Sales & Marketing Vice Presidentのレイ・スメッツ氏 [画像のクリックで拡大表示] |
その理由は。
ユーザーは,三つの要素のそれぞれの最適化に目を奪われがちだからだ。それぞれの要素で最適化しても,全体のパフォーマンスが最適化されるとはかぎらない。
また,それぞれの要素間のギャップが広がっていることも重大だ。例えば,ネットワークのベンダーは,ネットワークの上位にあるアプリケーションを認識していない。ネットワークのパフォーマンスの最適化に注力するが,アプリケーションのどの点に留意すればパフォーマンスを上げられるかは考えない。同様に,アプリケーションのベンダーは,下位にあるネットワークの構成を把握していない。
今ユーザー企業が求めているのは,アプリケーション,ネットワーク,システムの三つ全てにわたるエンド・ツー・エンドでのサービスのパフォーマンスの最適化だ。エンド・ツー・エンドのパフォーマンスを保証するというのが,我々の新しいビジョンの「Intelligent Service Assurance」である。そして,それを実現するのが,1月に発表した三つの新製品である。
具体的には,どのようにして実現するのか。
三つの製品について簡単に説明しよう。
まず,モバイル・クライアント向けの「Mobiliti8」。SSL,IPsec,PPTPといったVPNのアクセラレーション機能やキャッシュ機能によって,モバイル通信を最適化する。
次に,大規模ネットワークのコアに置く「PacketShaper Talon T30」。これは,帯域制御装置の最上位機種「PacketShaper 10000」の処理を高速化する装置だ。OC-12やOC-48といった高速回線に対応する。新しいネットワーク・プロセッサを採用し,6Gビット/秒という処理速度を実現した。レイヤー7の情報を識別する装置でマルチ・ギガビットを達成した帯域制御装置は,業界初だと自負している。
最後に,統合管理ツール「IntelligenceCenter」。Mobiliti8やPacketShaper Talon T30と通信して,全アプリケーションのパフォーマンスの測定,ポリシーの適用,エンド・ツー・エンドのトラフィックのグラフィカル表示を実現する。これによって,どのようなアプリケーションのトラフィックが流れていて,何が重要で何が重要でないかをリアルタイムで表示する。
いくらアクセラレーションを加えたり,回線の帯域を広げたりしても,ネットワーク上に何がどのように流れているのかを把握しないと,エンド・ツー・エンドのサービスのパフォーマンスを向上できない。そこで,IntelligenceCenterによる「見える化」(visibility)が重要となる。
IntelligenceCenterは2008年2月から出荷を開始している。PacketShaper Talon T30は4月に,Mobiliti8は数カ月以内に出荷を開始する予定だ。PacketShaper Talon T30を含む全てのPacketShaper製品は,IntelligenceCenterに対応している。今後は,当社の他の製品でもIntelligenceCenterをサポートしていく。
■変更履歴 記事掲載当初,PacketShaper Talon T30の出荷時期を2月としていましたが4月の誤りでした。また,IntelligenceCenterに対応する帯域制御装置が,現在のところはPacketShaper Talon T30のみと受け取れる文章となっていましたが,実際は,PacketShaper Talon T30を含む全てのPacketShaper製品がIntelligenceCenterに対応しています。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/03/05 16:00] |