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 米3PAR(旧称は米3PARdata)は,“ストレージの仮想化”をうたい,ディスク・ドライブの数を減らすことによるCO2(二酸化炭素)の削減に取り組む企業の1社である。論理ボリュームに割り当てる物理ディスク量を減らす“Thin Provisioning”(シン・プロビジョニング)技術に特徴がある。
 2007年末には,1台の物理ストレージを仮想的に複数の独立したストレージに見せるための機能として,ボリュームに対するアクセス制御機能を高めるオプション・ソフト「3PAR Virtual Domains」を出荷した。外部のLDAPサーバーからアクセス権限情報を得て,論理的に分割された個々の仮想アレイを別個のアクセス権限によって管理できる。
 2008年3月18日,同社マーケティング担当副社長のCraig Nunes氏に,効率よくCO2を削減するためのポイントなどを聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro



米3PARでマーケティング担当副社長を務めるCraig Nunes氏
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直近のCO2削減状況を教えてほしい。

 ディスク・ドライブの数を減らすことがCO2の削減になる。そして,3PARは,2007年に1万2000トンのCO2を削減・相殺した。3PARのストレージを使うユーザー企業がストレージ利用によって排出するCO2のすべてを,3PARが肩代わりした。

 1万2000トンの内訳はこうだ。2007年に出荷した3PARのストレージが排出するCO2は,5000トンに相当する。だが,もし3PARのストレージを使わなかったのであれば,1万2000トンのCO2に相当していただろうということだ。

 まず,3PARの技術によって,1万2000トンと5000トンの差分である7000トン分を削減できた。これに加え,削減できたとはいえ生じてしまっている5000トン分のCO2を,カーボン・オフセット(CO2を相殺する商品)の購入により相殺した。

 なお,1Tバイトのストレージが排出するCO2量は,年間1トンに相当する。自動車1台は年間5トン相当だ。そして,1トンのCO2を相殺するカーボン・オフセットの価格は,日本円で900円程度になる。5000トンのCO2削減のためのカーボン・オフセットは,900円×5000で450万円程度になる。

他社と比べて3PARが少ないディスク・ドライブで済む理由は何か。

 理由は,3PARの特徴であるThin Provisioning(シン・プロビジョニング)にある。まず,Thin Provisioningという方向性自体がディスク削減のために優れているうえ,他社のThin Provisioningよりも3PARのThin Provisioningのほうがよりディスク削減効率が高い。

 Thin Provisioningをおさらいしよう。Thin Provisioningとは,OSやアプリケーションなどに割り当てる論理ボリュームの容量に合わせて物理ディスクを用意するのではなく,実際に格納しているデータ容量に合わせて物理ディスクを割り当てるという考え方だ。将来のデータ量の増加を見越して大量の空きディスクを用意する必要がなく,実需に合わせて物理ディスクを増設できる。だから,ディスク使用率を常に高く保てる。

 もしThin Provisioningを使わないのであれば,容量1Tバイトのボリュームには,実際には250Gバイトしか使っていなかったとしても,1Tバイトの物理ディスクをあらかじめ割り当てておかなければならない。このように,平均的なユーザー企業においては,確保したストレージ容量の実に75%が使われていない。

 他社(米Network Applianceや日立製作所,米EMCなど)もまたThin Provisioningをうたっているが,3PARとは方式が違う。他社のThin Provisioningは,私に言わせれば“Chubby”(小太りしている)だ。一方で,3PARは本当にThin(痩せている)である。

 他社の方式では,許容バッファとして,余裕を見て,あらかじめ一定量の余剰な物理ディスクを継ぎ足しておかなければならない。これに対して3PARでは,データの書き込みなどにおいて物理ディスクが余計に必要になったタイミングで動的に増設できる。3PARではChunklet(チャンクレット)と呼ぶ容量256Mバイトの小さな単位でディスクを管理しており,ボリュームはこのChunkletの集合体となる。

2008年3月18日に発表したコンセプト「Nearline for Online」とは何か。

 アーカイブ用途のニアライン・ストレージの技術を,データベース・アクセス用途などのオンライン・ストレージに適用することだ。

 3PARのストレージは,ディスクとしてATA/SATA(Serial ATA)というニアライン向けのディスク・ドライブを搭載している。創業当初はニアライン・ストレージとして使われるであろうと考えていたが,実際のユーザー企業の中にはオンライン・ストレージとして使う企業もあった。そこで,信頼性などの面においてオンライン・ストレージとして使えるかどうかを,入念にテストした。こうした経緯から今回,「オンライン用途にも使えますよ。使ってみてはどうですか」と広く提案するに至った。

 そもそもSATAディスクをオンライン用途に使えるのは,3PARのストレージが優れているためだ。Chunklet(チャンクレット)の集合体としてボリュームを仮想化しているため,通常のディスク・アレイと比較すると,利用するドライブの数が多いことによるストライピング効果が高い。Chunkletの細かさゆえに,故障時の復旧も早い。

■変更履歴
米国本社と日本法人の社名が,2007年8月1日付で変更になりました。米国本社は「米3PAR」(旧称は米3PARdata)に,日本法人は「3PAR」(旧称は3PARdata)に,それぞれ変更になりました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/03/26 17:10]